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とあるキャラについてはあとがきに。
第二話


「では武蔵よ! 俺の第二計画をお前に明かす!」

「おお! さすが先輩! まだ何か悪知恵が!」

「悪知恵じゃねえよ馬鹿! まぁいい、計画その二、評議会を味方につけよ! DA!」

 生徒会長となった俺は、腹心の部下である武蔵に指示を出していた。
 今はまさに俺の時代。
 俺がこの学園を支配する時代が来たのだ。

「俺は今……輝いてイルッ!」

「はいっ! まさにプレミアムです! 付き合ってください!」

「おう! おぉぅう!?」







「はっ!?」

 なんかとんでもない夢を見た気がする。
 いや、それと同時に凄くいい夢だったような気もするのだが……
 まぁ夢だ。うん。
 とりあえず二度寝しよう。



第二話



 川神院とは、この川神市の一大スポットである。
 なんのスポットかといえば、デタラメ人間の万国ビックリショーの総本山なのである。
 手からビーム出したり天気変えたり、そんななんでもありの人間の育成機関。
 それが川神院なのだ(まぁビーム出すのは極僅かだが)。
 ――で。
 そんな川神院の出身で、世界的にも超有名な川神百代という女が俺と同学年にいる。
 しばらく前、俺が直江大和という一年生を介して金を返してもらった事から解るとおり、この女は非常識に金を返さないのである。川神百代と同じ『風間ファミリー』という仲良しグループに属している直江と利害関係を結んでいた俺を褒めてやりたいところだ。
 いや、川神百代もずっと返せ返せと言いつづければ最終的には期日を決めて返してくるのだが、それだってこっちが譲歩しまくりだ。俺としては暴利でも付けてやりたい気分になるのだよ。
 一年のF組に妹がいるらしいが、そいつの方は川神姉と比べると随分と素直な性格らしい。妹を見習えと全力をで言ってやりたいね。

 なぜそんな事をいきなり挙げたのかと言えば、俺の目の前にいる女を見ればわかるというものだ。
 ちょっと前まで金を借りてた分際で、何をしにきた川神百代ォ!

「いやーそんなに怒るなって」

「怒るわ! 誰だって怒るわ! 俺を舐めてんだろクラァ!」

「はっはっは」

 あぁ。わかってるさ。お前前からそういう奴だったな。
 今だって昔に比べればマシになったんだ。風間ファミリーの連中に感謝しておこう。そうとも、前に比べればマシと思えば耐えられる。
 まぁ、何一つ解決はしてないけどな。

「……聞いてやる。何のようだ」

「中学生とデートした奴の顔を見にきた」

「何故知ってる! じゃなくてただ買い物してただけだ! 誤解だ!」

「いやそれデートだろ」

 なん……だと……!?
 というか何故お前が知ってる。どこで嗅ぎつけた。俺はあの時に京極としか会っていないはずだぞ。
 そりゃあ同じ町だし歩き回ったし見られてる可能性は無きにしも非ずだが、それだけで中学生とまではわかるまい。
 やはり、アイツなのか――

「デートかデートでないのかはどうでもいい! 本当はよくないが今はいい。それより、お前はその話をどこで聞いたんだ!?」

「ユミからだ。にしてもお前がハゲの同類とはな~」

「……ハゲってあの一年のロリコン野郎の事だろう。一緒にするなよオィイ!」

 現在の一年生のSクラス、やたらと大物が集まっているクラスという情報を得ているが、そこにはロリコンのハゲがいるという事を俺は既に知っている。
 もちろんこいつも情報通である俺がそれを知らないはずがないとわかっていてハゲを例えに出したんだろう。
 だが、肝心なのはそこではない。

「断じて俺はロリコンではないのだよ」

「じゃあなんだ」

「当然、かわいければそれでいい」

 男ならば特殊な性癖でない限り若い娘が好きなのは当然だ。
 もちろん武蔵も若い娘であるが、あいつは俺の部下である。子供の頃から一緒に風呂まではいった事のある奴相手に、何ゆえ欲情せにゃならんのだ。
 というか川神姉め、それを言うためだけに来たのか? 食堂でうどん食ってる俺に、ちょうど気になることがあったからって感じで話しかけてきたのか?

(いや待て……ユミ? 弓子が? 何故あいつが知っている? あいつは弓道部で町には出ていないはず……京極からの伝言か? いや、あの二人のどこに接点が?)

 そこまで考えた時、俺に電流走る。
 理由としては上出来、むしろ『あの事』を知っている京極なら関わろうとしてもおかしくない。
 余計なお世話だというのに最後まで渋っていたあの男だ。

 しかし……落ち着け。

 他に情報源があるはずだ。京極はおそらく、デートだと誤解をしたとしても勝手に『二人ともがんばれ』みたいな感じで放っておくタイプのはずだ。
 前はその逆のようなことをしたから説得してきたが、今回は違う。
 ならば……

「どうした?」

「いや、少し考え中だ」

 クソッ! 俺に恨みのある奴なんて大量にいるぞ!
 どいつが情報リークしたのかを全く突き止められん!
 やはり直接聞くしかないのか……なんかアレだなぁ、誤解を解こうと必死になってるみたいで嫌だなぁ。いやまぁ、止めたいのは事実なんだけど。
 ――仕方ない、行くか。だがその前にこいつに言わないとな。

「おい、俺がロリコンだとか言いふらすんじゃないぞ」

「ははは、もちろん。大切な友達だからな(金ヅル的な意味で)」

 なんか凄く不穏な気配を感じたが、MOMOYOなら仕方あるまい。
 さっさと弓子のいる場所へと急ごう。大方あそこにいるはずだ。






 長年の経験を生かすまでもなく、矢場弓子は弓道場で見つかった。
 放課後一番乗りでやってきて、整備などでもしていたか。

 矢場弓子。
 これまた京極と同じ俺の小学校からの知り合いだ。
 川神百代と俺の共通する友人であり、俺があのモンスターに金を貸す羽目になったのも、共通の友人であるからとも言える。まぁ、直江大和との共通した知り合いである時点で詰んでいた気もするが……それだってあの野郎の方から声をかけてきたのだ。俺は悪くねぇ。風間ファミリーについての情報をもっと集めておくべきだったと、あの時は反省したものだ。
 まぁなんにしろだ。
 実際は弓子との縁というものは、ただの知り合いって言ったらいかんほどにはある。
 だからなんか誤解されたままでいるってのは嫌なもんなのだ。

(だいたい、どっかから漏れて『副会長が中学生とデートしてた』とか噂になったら嫌だしな)

 イメージアップのためにも、変な噂は早めに消しておきたい。
 嫉妬マスク達に目をつけられるとロクな事がないからな……

「よう」

「何の用で候」

「相変わらず固い……まぁいいや。何故だか知らんが俺が先日に武蔵と買い物していたのを知ってるらしいな」

「えっ」

 えっ……ってこっちが『えっ』な気分なんだが。
 とりあえず俺は弓子にズンズンと近づいて問い詰めることにした。

「さぁ吐け! キリキリ吐け! 誰から教わった!」

「ちょ……落ち着いてよ!」

「これが落ち着けるか! 俺はロリコンじゃねえ! そんな事はお前も良く知ってるはずだ!」

「私は一言もロリコンとは言ってないよ!?」

 ……えっ。
 じゃなくて、落ち着け俺。ロジカルに思考しろ。
 確かにこいつがロリコンと言ったわけじゃない。俺は百代からロリコンのハゲみたいだと言われただけだ。しかし中学生とデートしていたなんて事になれば同じ事なのではないか?
 いや、実際は買い物してただけでそういうものじゃあないんだが。
 とにかく落ち着け……ふぅ。

「うむ。落ち着いた」

「それはよかったで候」

「あぁ。……できれば口調を一定にしてくれると助かる。昔からの仲じゃないか」

「――確かに、湊斗君相手に気にすることもないわね」

 やはりそっちが自然だな。部長になるからってそう口調を気にすることをあるまいに。
 俺なんか副会長になろうが自分のスタイルを変えるつもりは一切ないぜ。
 やっぱ人間、素の自分を出していくのが一番だぜ。

「まぁ、とりあえず教えてくれ。誰から聞いたんだ?」

「妹さんよ。『私の友達と兄貴が――』って。私はもう関係ないのにね」

「なっ、なぁっ!?」

 そっちかあああああああああ!
 我が妹マイシスターセイナよ。前々から思ってたがなんと予想外な奴だ。
 身体だけでなく脳みそまで筋肉の塊であったか。ファック。

「ふ、ふふふ、ありがとう弓子。助かったぜ」

「うん、いいけど……何かする気?」

「ハハハ。心優しいこの俺が酷い事するわけナイジャナイカ」

 なんか引き攣った笑顔になっているぞ弓子、大丈夫か?
 マァ変なことはしないさ。妹だしな。
 というか力任せで何かしようとしたら、確実にワンパンKOだし。
 まずは話を聞かないとな。どういう意図で行ったのかを。

「ところで……」

「何?」

「百代以外に話してないよな?」

「話してない……ってちょっと! その卑猥な手の動きやめてよ!」

「冗談だ」

 だいたい、ただちょっとワキワキさせてただけで卑猥とは心外な。
 まぁロリコンという情報は出回る心配は無さそうだな。
 よし、後は帰って口封じだな。ははははははは。


あとがき

『妹』がどんなキャラか一足先に把握したい方は。
リスペクト元である『テスト・オブ・少女』を読まれたし。
結構前に書いた短編だ。

ところで、義経たちが四天王になれないのはクローンだからで、新しい称号を作らないのは安っぽくなるからでしたっけ?
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