年金国庫負担:「交付国債」を検討 負担36.5%に下げ

2011年12月18日 11時52分

 12年度予算編成の焦点である基礎年金の国庫負担について、政府が現行の2分の1の負担率を36.5%に引き下げた上で、差額の2兆6000億円を「交付国債」で賄う検討に入ったことがわかった。交付国債は、交付を受けた機関が必要な場合に現金に換金する仕組みで、発行時点では国の新規国債発行額に計上されない。このため、財政健全化目標である「国債44兆円枠」は維持できる見通し。

 交付国債の償還財源には、将来の消費増税による増収分を充てる。財政規律を維持する姿勢を示しながら、年金財政を実質的に国庫で支援するという、異例の手法を検討する。

 週明けにも安住淳財務相と小宮山洋子厚生労働相らが協議する。交付国債で賄う場合、2兆6000億円は歳出に計上されないため、12年度の一般会計総額は約90兆円となり6年ぶりに当初予算が前年度を下回ることになる。

 基礎年金を巡っては、政府・与党は2分の1負担維持に必要な財源2.6兆円を、将来の消費増税で償還する「つなぎ国債」を発行して賄う方針を固めていた。だが、24日に予定している12年度予算案の決定までに、政府が消費増税法案提出を閣議決定することは望めない。

 財源の裏付けの無い国債発行は好ましくないため、財務省は国庫負担率を予算案段階で36.5%に引き下げ、消費増税法案が成立するまでの間は年金特会の積立金を取り崩す「2段階方式」を主張。一方、厚労省は「積立金を取り崩せば年金財政への信頼が損なわれる」として、あくまで国債発行によって差額を穴埋めするよう求めていた。

 交付国債を活用すれば、厚労省は年金財政を悪化させずに済む一方で、財務省は国債発行額を抑制することができる。このため妥協案として浮上した模様だが、市場から「見かけ上の国債発行額を減らす粉飾行為」との批判を浴びる恐れもあり、政府は、交付国債の換金は消費増税法案の成立を条件とすることも検討している。

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