WTO:閉幕…「ドーハ」包括合意断念 2国間に軸足

2011年12月17日 23時2分 更新:12月17日 23時18分

 【ジュネーブ伊藤智永】世界貿易機関(WTO)の全加盟国・地域による定例閣僚会議は17日夜(日本時間18日未明)、01年から10年間続いた多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)の「近い将来」の包括合意を断念することを決め、3日間の日程を終え閉幕する。会議では、保護貿易主義の抑止や、経済力が弱い後発発展途上国への支援強化でも一致した。

 01年の同ラウンド開始決定から10年。ラウンドが失敗したのは、自由貿易の拡大をめぐり、米国など先進国と中国・インドなど新興国の対立が埋まらず、今後も解消する見通しが立たないのが原因だ。合意しやすい部分をとりまとめる案もあるが、農業品や鉱工業品などの主要分野での合意は断念。戦後の通商体制は転機を迎え、全加盟国による貿易自由化を進める多角的貿易体制から、先進国を中心とした2国間や地域間の経済連携協定(EPA)に重心が移ったことが鮮明となった。

 08年のリーマン・ショック後、世界に広がる保護貿易主義容認に対して、誤ったメッセージを送ることを避けるため、交渉の「失敗」や「終結」はしない。今後のWTO交渉では、経済力が弱い後発発展途上国への支援強化策のとりまとめを目指す。また、加盟国間の紛争を処理する司法機能にも重点を置く。

 ドーハ・ラウンドは「閉幕」しないまま、新興国を途上国扱いしない別の交渉ルールで、新たなラウンド開始を探るべきだとの意見も出ている。

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