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高英姫 きょうだい10人以上、相次ぐ改名、日本への望郷…

産経新聞 2月15日(水)11時36分配信

高英姫 きょうだい10人以上、相次ぐ改名、日本への望郷…
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万寿台芸術団時代の高英姫氏(中央)。後に「喜び組」に属したのか(1970年代の北朝鮮の絵はがきから)(写真:産経新聞)
 高田姫(ひめ)、高姫勲(ヒフン)、高英子(ヨンジャ)…。北朝鮮の新指導者、金正恩氏の母、高英姫氏は出世魚のように改名を重ね、在日朝鮮人出身から死後「国母」に祭り上げられるまでになった。半面、父は旧日本軍協力者だった上、女性遍歴から兄弟姉妹は十数人いるなど複雑な家庭環境にあった。今後、北朝鮮で進むであろう“国母偶像化”の過程で、不都合な真実はどう塗り替えられていくのか。(桜井紀雄)

 ■残された記録

 「三女のヨンスクが大学へ行く日、次女のヨンジャが金日成主席から勲章を受けたという知らせがきた」

 北朝鮮が発行した「朝鮮画報」1973年3月号に在日朝鮮人帰国者の近況を知らせる「コ・ギョンテク(高京沢)さん一家」と題した記事の中で一家団欒(だんらん)の写真とともに記された文章だ。「ヨンジャ」こそが高英姫氏のことだ。72年12月の労働新聞には、勲章を受けた芸術団員の一人に「コ・ヨンヒ」の名前が掲載されている。

 独自に英姫氏の出自を調査し、これら記事を発見した北朝鮮情報専門ニュースサイト「デイリーNK」の高英起(コヨンギ)東京支局長は「『子』が付く名前は日本的だとして多くの女性が改名させられた。当時は金正日総書記と同居する前で、名前についても精査されないまま出された記事が残ったのだろう」と解説する。

 これだけにとどまらない。62年に10歳で北朝鮮に渡った当時の帰国者名簿の名前は「姫勲」で日本名は「高田姫」。金総書記の専属料理人だった藤本健二氏は、金総書記が「アユミ」と呼んでいたと著書に記しており、合わせると5つもの名前を持ったことになる。しかし英子から英姫への改名を境に「ファーストレディー」への階段を確実に駆け上がっていった。

 ■女性関係のもつれ

 父、高京沢氏が北朝鮮に渡った理由は、密航船運営による逮捕だけではない。

 関係者の証言などによると、正妻のほか、愛人が4人おり、英姫氏の母、李孟仁(リメンイン)氏との子供を合わせ、把握されただけで十数人の子供がいた。日本を去ったのは、女性関係のもつれを清算するためともされた。

 朝鮮画報で紹介された当時、北朝鮮北東部の咸鏡北(ハムギョンプク)道にある「ミョンガン化学工場」の労働者だった。しかし、娘と金総書記の同居後は、平壌の「万景台記念品工場」顧問支配人に取り立てられ、恵まれた生活が確保された。軍需工場で働いていたという日本での過去があるにも関わらずだ。京沢氏は99年に86歳で他界した。

 長男のドンフン氏は、エリート校である現在の金策(キムチェク)工業総合大学に進学。三女のヨンスク氏も咸興(ハムフン)薬学大学に進むなど、進路が保障された。ただ、ヨンスク氏は2000年前後に夫婦で米国に亡命したともされる。

 ■日本への望郷

 金総書記には長男、正男氏を生んだ元映画女優の成恵琳(ソンヘリム)氏のほかに正妻の金英淑(ヨンスク)氏、秘書の金オク氏と少なくとも4人の妻、側室がいた。中でも英姫氏を最も愛し、死去まで20年以上、同居を続けたという。

 藤本氏は、映画を愛好した金総書記が「日本で一番きれいな女優は吉永小百合だ」と話すのを聞き、「英姫氏は吉永さんに似ている」と記している。「名女優、原節子に似た清楚(せいそ)で凛(りん)とした美人」とも表現。美しさだけでなく、夫の書類整理を寝る間を惜しみ助け、おごった態度をとることはないが、金総書記から意見を求められると、しっかり発言する姿を藤本氏は見てきた。

 泥酔し逆上した警護員が銃口を金総書記に向けた際、英姫氏は警護員に飛びかかり命を救った。英姫氏が海外で乳がんの治療を受けていた際、金総書記は寂しさからポロポロ涙を流す姿も見せたという。

 正恩氏らを連れて、1991年ごろ東京ディズニーランドを訪れるなど、何度も来日していたことも判明している。正恩氏には「ジョセフ・パク」という偽名旅券を用意した一方、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)関係者によると、英姫氏は別途、朝鮮総連商工会幹部の身元保証で正式入国していたという。関係者は「日本への郷愁が強かったのだろう」とみている。

 実質的な「ファーストレディー」として金総書記の寵愛(ちょうあい)を受け続けた英姫氏だが、息子が正式な金総書記の後継者に、さらに北朝鮮の指導者に就任する晴れの日を目にすることなく、2004年6月、病気治療先のパリからの帰国途中、モスクワでこの世を去った。

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最終更新:2月15日(水)11時36分

産経新聞

 

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