また、その規模の地震と津波が起きた場合、比較的、津波に対しては安全と思われがちな瀬戸内海沿岸や、大阪湾にも大津波が押し寄せる可能性が指摘されている。関西大学の河田惠昭教授らの研究では、M9クラスの地震が起きた場合、大阪にも5・5mの津波が押し寄せる危険があるという。
「いま危ないのは東京直下型だけ」などという安易な思い込みは、地震大国ニッポンで暮らしている以上、命取りになりかねない。
そして、1月28日に山梨県東部で震度5弱の地震が起きるなど、近くで地震活動が活発化し、注目が集まっている富士山についても触れなければならない。
火山研究が専門の千葉大学大学院理学研究科の津久井雅志准教授はこう話す。
「山梨で起きた地震は、これまで頻繁に起きてきた地震と同じタイプで、特別なものではない、と発表されていますが、やはり富士山に近い位置で起きている以上、警戒が必要です。
貞観地震や宝永地震など、大地震の前後に富士山は活動を活発化させてきましたが、ひとたび噴火すれば、長いと数年間も続くことがあります。数年前、内閣府が宝永噴火と同じ規模の噴火が起こった場合の被害総額を試算した結果は、約2兆5000億円という巨額なものでした。
もし本当に富士山が噴火する場合は、マグマが地下の深い場所から浅い場所に移動してくる時に起こす微小地震が感知されるようになります。その動きは、事前に捉えることができると思います」
われわれは、東日本大震災の強大なエネルギーが、日本列島の様相を一変させてしまったことを、肝に銘じておかなければならない。次に地殻の歪みが解放されるのはどこなのか、この日本に住んでいる限りは〝誤差〟の範囲内に過ぎない。
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