大地震 みなさん、準備は出来ていますか 「この1年の間に来る」と話す地震学者たち

2012年02月15日(水) 週刊現代

週刊現代経済の死角

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 一方、東日本の内陸部、「新潟など中越地方が危ない」と警告するのは、立命館大学歴史都市防災研究センターの高橋学教授(地理学専攻・環境考古学)だ。

「東日本大震災が起きたのは、宮城沖の北米プレート上ですが、本州を挟んで同じプレートの西側、つまり新潟方面に向け、震度1クラスの微小な地震が起きている痕跡があります。これは、新潟付近で地震が起きる際に見られるパターンの一つなのです」

 周知のように、震度7を記録して68人の死者を出した2004年の新潟県中越地震(M6・8)など、中越地方もまた、たびたび地震災害に見舞われる場所だ。この地方では、日本海側の沖合を震源とする地震が2007年にも起きており(新潟県中越沖地震、M6・8)、後に起きた東日本大震災との関連性も指摘されている。

「いまこの地方で大地震が起きると、危惧されるのはここが豪雪地帯だということです。中越地方は、今からおよそ6000万年前から200万年前ごろまでに、海の底にあった地層が陸になった場所で、非常に地滑りを起こしやすい。真冬のこの時期に地震が来たら、雪の重みと相まって家屋が潰れるなどの被害が予想されると同時に、大規模な地滑り、雪崩が起きる可能性があるのです」(前出・高橋氏)

東海南海連動型の大地震

 '04年の地震では、やはり大規模な土砂崩れやがけ崩れが発生し、岩に潰された自動車から親子を救出するため、東京消防庁のハイパーレスキュー隊が出動した。幸いにも人的被害は出なかったが、激しい揺れにより、上越新幹線「とき」が、脱線する事故が起きている。

 死者68人とはいえ、山間部の人口がまばらな地域が被害の中心でも、その規模の〝激甚災害〟だったのだ。「震度7」が都市部を直撃することになれば、被害はより拡大するだろう。

 また、東日本に比べ、落ち着いているように見えるそれ以外の地域が心配ないかと言えば、決してそんなことはない。

「首都直下のM7」を警告した東京大学地震研究所に所属する、都司嘉宣准教授はこう語る。

「3・11の後、いわゆる東海地震が起きる可能性が高まっていると考えています。そしてそれが、1707年の『宝永地震』のように、連動型の巨大地震になることもあり得ます」

 宝永地震は、M8超級(M8・5以上?)と推測されている、日本の歴史上、最大級の地震だということは、本誌でも何度か紹介した。現在の静岡県駿河湾沖から、紀伊半島沖、さらに四国沖までの広大な地域が震源域になったとされており、M9クラスだったという研究報告もある巨大地震だ。

「私は、従来のように東海地震と東南海地震(東海地震の西側が震源域とされる)を別々のものとは考えていません。この二つを併せたものを〝東海地震〟と考えており、その発生の可能性が高まっているように感じています。

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