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円高局面は終わったのか

MarketBeat―WSJ.comが分析する市場の今

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 円高局面が終わった可能性を指摘する市場関係者が増えている。日銀が14日の金融政策決定会合で追加緩和を決定 したことを受けた円の大幅な下げで、以前は安全な逃避先と考えられた円をめぐってトレーダーが現在、売りのきっかけをうかがっていることがうかがえる。

Bloomberg News

 日銀は長期的なデフレの終結への決意を一段と固め、資産買い入れ基金を10兆円増額する計画を明らかにし、市場を驚かせた。この日銀の政策により、市中の資金量が増え、円安圧力になるとみられる。

 日銀の発表を受けて、ドルは対円でテクニカルチャート上の節目を上抜け、14日の日本市場で10カ月ぶりに200日移動平均水準の1ドル=78.03円を上回って通常取引を終えた。

 ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント(GSAM)のジム・オニール会長は、「日銀からの素晴らしい重要な動きだ」と言及。その上で、ドルは対円で今年中に100円に上昇する可能性がある、との見方を示した。

 このところ、ドル・円相場は78.46円付近で推移しており、1ドル=100円といった水準はずっと先の話のように思えるかもしれないが、東京のトレーダーらは、この見方は海外市場の地合いをかなり表わしていると指摘した。海外の投資家は通常、日本の投資家と比べ、日本のニュースに反応しやすい。

 大手邦銀のシニアディーラーの1人は、「私が驚いているのはロンドンの投資家が真夜中過ぎに積極的に円を売ったことだ」と指摘し、「これは非常にまれなこと」と語った。

 こうした地合いの変化は、東日本大震災とタイの洪水で深刻な被害を受けた輸出の大幅な落ち込みを背景に、日本の2011年の貿易収支が31年ぶりに赤字に落ち込んだことをきっかけに浮上し始めた。

 日本が今年も貿易赤字を計上するかどうかはまだ議論の余地がある。しかし、バークレイズ銀行のチーフFXストラテジスト、山本雅文氏は、対外収支の悪化が長期的トレンドとなりつつあるという見方は円売りを誘発するのに十分だ、と指摘する。

 また、米経済環境が予想よりも良好であることも円の重しになっている。米国の2月4日までの1週間の失業保険新規申請件数は1万5000件減少と、減少幅が市場予想の3000件減を大幅に上回った。さらに、米景気の重要な指標とみなされる非農業部門雇用者数も1月に24万3000人増と、市場を驚かせるほど良い内容だった。エコノミストの予想は12万5000人増だった。

 短期間で反転する可能性があるとしても、このところの状況は日本の為替介入に関する認識を一変させている。トレーダーらはドルは足元で下ブレの可能性もあるが、それにより日本の円売り介入が誘発される公算は小さいと指摘している。

 クレディスイス証券・外国為替調査部長、深谷幸司氏は「日本政府はもう介入をする必要はないと思っている」と語った。

 トレーダーらはさらに、ユーロ圏諸国が引き続きソブリン債危機の食い止めに苦戦していることを考慮すると、ユーロに対する円の下落も引き続きそれほど確実ではないとの見方を示している。ギリシャの状況が悪化する場合には、ユーロは対円で1ユーロ=100.00-103.40円を再び割り込む可能性がある(グリニッジ標準時午前6時時点)と指摘する向きもいる。最近、ソブリン危機がピークに達した際に、ユーロは対円で11年ぶりの安値に当たる1ユーロ=97.04円を付けた。

 一時的に円押し上げにつながる可能性のあるもう一つの要因は、日本企業による年度末のリパトリ(資金の本国還流)だ。しかし、トレーダーらは、昨年輸出が低迷したことや円弱気の投機筋が増えていることから、為替市場への差し引きでの影響は限られる見通しだと指摘する。

 シティバンク銀行のチーフFXストラテジスト、高島修氏は、「今は円安に向けての転換点にいると思う」と語った。

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