超高層ビルなどを大きく揺らす地震の揺れ「長周期地震動」について、気象庁は、地震直後に揺れが観測されている地域を示して、注意を促す情報を発表することになりました。
「長周期地震動」は、数秒以上のゆっくりとした周期で繰り返す地震の揺れで、規模の大きな地震の際に発生しやすく、超高層ビルや石油タンクなど、大型の建造物が大きく揺れることがあります。
気象庁は去年、専門家による検討会を設けて、「長周期地震動」の被害を防ぐ新たな情報を設けるための議論を進めていますが、14日の会合で、発表する情報の考え方を示しました。
それによりますと、長周期地震動に関する情報は、社会的影響が大きい超高層ビルの揺れを念頭に、地震発生から数分後、震源地や地震の規模などが判明するタイミングで発表するとしています。
情報では、「長周期地震動」が実際に観測されている地域を、震度速報でも使われる「東京23区」や「大阪府北部」などといった地域名で発表し、揺れへの注意を促します。
ただ、地震直後には、震度や津波の有無をはじめ、さまざまな情報が発表されることから、情報はできるだけ簡潔にして、詳しい観測データなどは後から発表するとしています。
専門家の委員からは、「まれにしか出ない情報であり、どう役立てればよいのか事前に整理し、周知しておく必要がある」などの意見が出ていました。
気象庁は、検討会の議論を受けて、新年度から具体的な表現などを検討し、1年後をめどに情報の発表を始める方針です。
検討会の座長を務める東京工業大学大学院の翠川三郎教授は、「巨大地震の際、大都市の被害を減らすために、長周期地震動の情報は必要で、気象庁が出した案に沿って具体的な議論を進めたい」と述べました。
そのうえで、「地震や津波については、現状でもたくさんの情報が出されている。新しい情報が活用されるためには、長周期地震動の特徴や対処方法などの啓発活動を進めていかなければならない」と話しています。
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