日銀は14日、金融政策決定会合を開き、国債買い入れなどを行う「基金」(現行55兆円)を10兆円増額する追加の金融緩和策を決定した。欧州債務危機を背景に世界経済が減速し、日本経済にも悪影響を及ぼすとの懸念がくすぶっており、追加緩和による景気下支えが必要と判断。望ましい物価水準を「中長期的な物価安定の目途(めど)」として示し、消費者物価指数の前年比上昇率で「2%以下のプラスの領域で、当面は1%を目途」とした。【谷川貴史】
追加緩和は昨年10月下旬以来。日銀は「当面、(物価)上昇率1%を目指す」と目標水準を具体的に示したうえで、その状況が見通せるまで実質ゼロ金利政策などの緩和措置を継続する方針を示した。追加緩和と物価目標をセットで発表することで、デフレ脱却に向けた日銀の緩和姿勢を強く打ち出した格好だ。
日銀はこれまで物価安定の目安を「消費者物価指数が前年比2%以下のプラスで、中心は1%程度」と説明。しかし、政府や与野党から「物価目標を2%と明示した米連邦準備制度理事会(FRB)と比べ、日銀の目標はあいまい」などの批判が噴出していた。
今回の決定会合後の発表文で、日本経済の現状を海外経済の減速などから「横ばい圏内の動き」とし、従来と同じ認識を提示。ただ、「先行きの内外経済の不確実性がなお大きい中で、日本経済の緩やかな回復経路への復帰をより確実なものとすることが必要」とし、追加緩和に踏み切った。
毎日新聞 2012年2月14日 13時29分