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斉藤和義、デビュー19年目 飛躍の理由

オリジナル コンフィデンス 2月15日(水)12時2分配信

 ドラマ『家政婦のミタ』の主題歌に起用された「やさしくなりたい」が、自身最大のシングルヒットとなっているミュージシャン、斉藤和義。デビュー19年目の斉藤が飛躍を遂げた背景には、デビュー当時より今に至るまで変わらず“自然体”で活動をしてきたこと、そして様々なツールを活用し、キャリアアーティストでありながら新たな世代のファンを獲得してきたことにあった。

「やさしくなりたい」週間ランキング推移(下段に表示)

 最終回で平均視聴率40%を記録する大ヒットとなったNTV 系ドラマ『家政婦のミタ』。斉藤和義による主題歌「やさしくなりたい」もまた、通算38 作目にして自身最大のシングルヒットとなった(累積10.5 万枚 2/20付)。

 とはいえ“苦節18 年にして”云々という形容は彼の活動にはそぐわない。継続的なライブ活動でファン層を広げ、アルバム・アーティストとして安定したセールスをキープしてきた。最近では、「ライブに訪れる10・20 代の若い世代のファンも増えている」と、ビクターエンタテインメント スピードスターレコーズの井畑研二氏は話す。その転機となったのが、10 年の「ずっと好きだった」だった。

「資生堂の40 代向け商品『IN & ON』CM ソングに起用されたのですが、楽曲のテーマ同様、80 年代アイドルが“同窓会”的に集合するCM が話題になり、ワイドショーやニュースサイト等でも取り上げられたことで、若者からも高い注目を集めました。幅広い世代が共感できる歌詞だったこともプラスだったようです」

 また、97 年の「歌うたいのバラッド」がBank Band にカバーされたことや、ツイッターなどデジタルツールを積極的にプロモーションに活用し、リスナーが楽曲に触れる入り口を増やしたことも、堅実にファンを増やしていた。

 そして、11は東日本大震災チャリティーライブをUstream 上で継続展開。替え歌「ずっとウソだった」を突如YouTube にアップロードするなど、“狙ってるんじゃない。やりたいからやってる”と言わんばかりの自然体かつラディカルな動きでも注目を集めることとなった。そうしたなか、次はいったい何をするのかと固唾を呑んでいたリスナーに届いたのが「やさしくなりたい」。この作品で、こつこつと種をまいてきたことが一気に花開いたのだ。

■ドラマOA後のダウンロード数は5倍

 今回、これまでのファンと違う層が反応していたことは、配信の動きから読み取れる。レコチョク配信事業部 編成グループの安部貴之氏によると、これまではなだらかに長くダウンロードされ続ける傾向だったというが、「やさしくなりたい」は「ドラマの注目度とともにダウンロード数が伸びました。OA 前と後では、最高で約5 倍も差があったほどです。

 12 月に入ってから音楽テレビ番組などに出演するとさらに上昇。今年に入ってもその勢いは衰えていません」という。そして、触れるチャンスさえあれば、魅了されるファンを増やすことが即座に可能になるソングライティングのセンスも忘れてはならない。基本的には多くのシンガー・ソングライターがそうであるように「身の回りで起こったことを日記のように詞にこめる」(井畑氏)というが、それが結果的に「歌うたいのバラッド」や「歩いて帰ろう」のような歌い継がれるスタンダードを生んでいる。


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最終更新:2月15日(水)12時8分

オリジナル コンフィデンス

 

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