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西村雄一郎のシネマ・トーク

トップ |バックナンバー |西村雄一郎(映画評論家)プロフィール
【1357】聯合艦隊司令長官 山本五十六 (12年1月14日)
〝見せる〟職人芸が不足

 

 山本五十六役は、三船敏郎の当たり役だった。もともと軍隊にいた三船は、軍神といわれた山本を、「連合艦隊司令長官・山本五十六」(68年)で、堂々たる貫禄で演じた。ハリウッド製「ミッドウェイ」(76年)にも、山本役で出演し、日本代表として冒頭とラストを飾っていた。

 

 ハリウッド資本で描かれた真珠湾攻撃といえば、「トラ・トラ・トラ!」(70年)が有名だ。20世紀フォックス社に雇われた黒澤明監督は、最初、山本役に、高千穂交易の社長である鍵谷武雄氏に白羽の矢を立てた。風貌よりも、海軍士官を思わせるオーラを重んじたためだが、素人を起用することなど、ハリウッドにとっては狂気の沙汰に映り、黒澤は解任された。この時も、山本役のピンチヒッターとして、三船の名前が上がっていた。

 

 撮影は監督を変えて続行されたが、結局、山本役にはプロの俳優である山村聡が抜擢(ばってき)された。この山本像は圧倒的にカッコよく、武人の鑑(かがみ)というべき軍人の典型として、高く評価されるべき出来であった。

 

 さて、最新作の「聯合艦隊司令長官 山本五十六」である。役所広司は、開戦に反対だったが、開戦を指揮してしまった悲劇の武将を、過不足なく演じている。「平常心これあり」といった、どんな時でも沈着冷静な態度が強調されている。(ただし、山本は確かに将棋が好きだったそうだが、味方が対戦している時、作戦本部で悠然と将棋を指していることなどありえるだろうか?)

 

 長岡藩の血筋を継ぐ侍という観点や、時流に乗って、世論を扇動するマスコミ批判を絡ませた脚本(長谷川康夫・飯田健三郎)は、新しい視点を入れようとして、かなり頑張っている。

 

 問題点を一つ指摘しておく。それは、映画的スケール感が不足していて、見ている方の感情が盛り上がらないことだ。確かにスタジオの狭いセットで撮った作戦会議のシーンはある。CGを駆使した派手な特撮シーンはある(動く人間を全く描いてないのは疑問だが…)。問題は、その二つが絡まないために、別々に撮っているという気持ちを起こさせ、手抜きをしているような感じを観客に与えてしまうのだ。

 

 東宝製の「山本五十六」では、“入れ込み”といって、たとえ危険であっても、戦火のなかで右往左往する人間を写した実写カットを必ず撮影していた。そのはざまのカットが、実写と特撮部分を融合させてくれた。「トラ・トラ・トラ!」では、実物大の飛行機や戦艦を造り、それを実際に破壊した。それら映画術が、観客を映画的スペクタクルの渦中に引き込んでくれたのだ。

 

 成島出監督は、好評だった「八日目の蟬」の演出力を見込まれての登板だろう。実力ある若手監督だからあえて言うが、そうした“見せる”技術をもう少し勉強してほしい。本来そうした職人芸は、撮影所の伝統として引き継がれるものなのだが、日本映画が育ててこなかったことのツケが、こんなところに出てしまったような気がする。(映画評論家)

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