最終更新: 2012/02/15 13:28

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カイコが今、遺伝子組み換え分野の最先端で引っ張りだこになっています。

カイコが今、遺伝子組み換え分野の最先端で引っ張りだこになっています。
医薬品の原料となるたんぱく質や、光るシルクなど、「GMカイコ」は、わたしたちの未来の生活を鮮やかに照らし始めています。

全てシルクでできたジャケットとワンピース。
一見、何でもない洋服だが、電気を消してみると、きれいな緑と赤に光った。
肌触りもほかの服と比べて全く変わらない。
暗闇で発光する赤や緑の蛍光色。
この光るシルクで編んだ服は、二重扉で厳重に管理された「GMカイコ」といわれる、遺伝子を組み換えたカイコによって生み出されている。
遺伝子組み換えによって生まれたGMカイコ。
カイコの卵に蛍光たんぱく質の遺伝子を注入。
やがて生まれてくるGMカイコが吐き出す絹糸が、色鮮やかな光るシルクとなる。
現在、実用化に向け、開発が進められている。
光るシルクは、ノーベル化学賞を受賞した下村 修氏が発見した、オワンクラゲの遺伝子を使用している。
農業生物資源研究所の瀬筒秀樹理学博士は「触り心地もよくて、おとなしくて。こんなおとなしい生物はいないので、かわいいもんです」と話した。
マウスなどと違い、コストも低く大量に飼育できるため、遺伝子組み換えに向いているというカイコ。
さまざまな特性を持つ遺伝子をカイコの卵に注入することにより、伸縮性や強度に優れた絹糸など、高機能のシルクを作ることが可能となる。
農業生物資源研究所の瀬筒理学博士は「カイコは生物工場としても注目されていて、シルクの代わりに、ほかのたんぱく質を作らせようという方向があります。それは具体的には、医薬品の原料となるたんぱく質などです」と話した。
遺伝子組み換えを行ったカイコの繭からは、医薬品などの原料となる有用たんぱく質を抽出でき、医療現場からも注目されている。
免疫生物研究所の冨田正浩理学博士は「人の遺伝子をカイコに組み込むことによって、作らせた人のコラーゲンになります。カイコを使って、そういった抗体医薬品を作らせると、おそらく、既存の方法の10分の1ぐらいのコストで作れるだろうというふうに試算しています」と話した。
検査薬などが開発中で、すでに化粧品は実用化されている。
そしてGMカイコは、衰退のふちの途にある地元産業にも光を当てる。
群馬県で先祖代々、養蚕農家を営む糸井文雄さん(71)。
しかし飼育場には、どこにもカイコは見当たらない。
糸井さんは「今は、冬場でカイコは今、飼っておりません」と話した。
餌となる桑の葉が冬場に育たないため、カイコの飼育期間は5月から10月までと、1年を通して行うことはできない。
糸井さんは「冬はこの桑の葉がないから、その間に、『桑園間作』といって、ホウレンソウを作ってあるわけです」と話した。
冬場の糸井さんの畑には、クワの木の間でホウレンソウを作り、生計を立てている。
かつては日本の経済を支えていた養蚕業だが、高齢化や安い中国産に押されるなど、農家は激減している。
糸井さんは生き残りを懸け、人工飼料により、1年を通してGMカイコを飼育できる施設で研修を受けるなど、小さなカイコが産む糸に大きな期待を寄せている。
しかし、遺伝子組み換え生物であるGMカイコを農家で飼うには、厳しい国の認可が必要で、ハードルは高い。
糸井さんは「この施設で遺伝子組み換えカイコができれば、色付き繭の糸がかっていければ、また新しい養蚕ができるんではないかというふうに思っています」と話した。

(02/15 00:21)


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