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2号機 温度計の1つ80度超示す

2月12日 21時24分

2号機 温度計の1つ80度超示す
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東京電力福島第一原子力発電所2号機で、原子炉の一部の温度計の値が上昇している問題で、12日午後2時すぎ、東京電力が定めた規定の80度を初めて超えました。
80度は冷温停止状態を維持できているかどうか判断する保安上の目安の温度で、東京電力は、国に報告する一方、温度計が故障している可能性もあるとして、注水量を増やしながら、慎重に監視を続けるとしています。

福島第一原発2号機では、先月下旬から原子炉の底にある温度計の1つの値が上昇し、今月7日に原子炉への注水量を増やした結果、一時低下傾向を示しましたが、11日、再び上昇しました。
このため東京電力は、11日午後11時前に、注水量を1時間当たりおよそ1トン増やし、14.6トンにしましたが、その後も温度の上昇傾向は続き、午後2時20分ごろ、初めて80度を超え、82度になりました。
政府と東京電力では、去年12月、原子炉の温度が100度以下に下がったとして、「冷温停止状態」を宣言したあと、新たな規定を設け、温度計の誤差が最大で20度あることを考慮して、原子炉の温度を80度以下に維持することを定めています。
80度は、冷温停止状態を維持できているかどうか判断する保安上の目安の温度で、東京電力は「運転上の制限を逸脱した」として、国の原子力安全・保安院に報告しました。
一方で、ほかの2つの温度計の値が35度程度まで下がっていることや、原子炉周辺の気体の調査から、核分裂が連続して起きる臨界が起きていないことなどから、東京電力は、冷温停止状態を維持できているとするとともに、上昇傾向を示している温度計が故障している可能性があるという見方を示しました。
東京電力では、注水量を1時間当たり17.4トンに増やして、慎重に監視を続けることにしていますが、原子炉の内部の様子を十分把握できていない状態が続いています。

これについて、国の原子力安全・保安院の森山善範原子力災害対策監は、「80度を示した温度計は大きく変動を繰り返していて、異常があると考えられる。原子炉そのものは、ほかの場所でも複数の温度計で測っていて、温度は高くなく、今の段階で『冷温停止状態』に問題ないと考えている」と話しています。
原子力安全・保安院は、東京電力に対し、原子炉の温度を把握する方法について、80度を超える数値を示した温度計を監視の対象から外すことも含めて検討し、報告するよう指示したほか、専門家からも意見を聞くことにしています。
一方、福島県は、東京電力が定めた規定の80度を超えたことを受けて、東京電力に12日午後、しばらくの間1時間ごとに原子炉の温度に関する情報を速やかに提供するよう申し入れました。
そのうえで、原子炉内の状況を把握し、外部へ影響が起きないように全力で取り組むことや、今後発生するおそれのあるリスクについて、県民に迅速で分かりやすい情報提供を行うことを求めました。