巨大地震の前触れなのか!? 5日間で6cm岩盤がゆっくり滑っていた 房総沖でうごめく 「スロースリップ地震」の不気味

2011年11月23日(水) フライデー

フライデー経済の死角

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震度5の群発地震を誘発

地図上の矢印は地殻変動が観測された方向と長さを示している。千葉県大原(現いすみ市)の観測地点では南東方向に2.3cm地殻が引っ張られていた(国土地理院の資料をもとに編集部で作成)

 しかし、無害な地震と割り切ってしまうのは早計だ。そもそも、今回の発表が驚きをもって報じられたのは、スロースリップの周期が観測史上最も短い、〝異常〟なものだったからだ。

 東京大学地震研究所の小原一成教授が解説する。

「過去30年間では、'83年、'90年、'96年、'02年、'07年、そして今回と6回のスロースリップが観測されています。平均するとスロースリップの間隔は約6年ですが、今回は前回のスロースリップから4年2ヵ月しか経っていない。3・11の大震災が、日本列島の下にある4つの巨大プレートに作用し、比較的予測が簡単だと思われていた房総半島沖のスロースリップの周期まで乱してしまったと考えられるのです」

'81年の観測開始から30年間で最も短い4年2ヵ月の周期で起きた。詳しいメカニズムは不明だが専門家は東日本大震災の影響が大きいとみている(国土地理院の資料をもとに編集部で作成)

 いまさらながら東日本大震災の破壊エネルギーには驚くほかないが、気になるのが防災科研が発表に付記した、「スロー地震により、プレート境界が固着している部分にひずみがさらに蓄積され、将来地震が発生した場合、規模拡大につながる恐れがある」という物騒な文言だ。

 3・11の大地震で生じたひずみに、長期間圧力が掛かり続ければ、「これから起こりうる地震のマグニチュードを増幅させる可能性がある」(京都大学名誉教授・川崎一朗氏)というのだ。短時間にエネルギーが放出されれば、激震につながることは素人でも理解できる。

 しかし、長期間にわたってひずみに摩擦力が働き続ければ、逃げ場を失ったエネルギーはその分、蓄積されるというのだ。北海道大学・地震火山研究観測センターの勝俣啓准教授が補足する。

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