細野豪志原発相(40)は、11月12日に福島第一原発を訪れ作業員らを激励するとともに、年内の原子炉の「冷温停止」に自信を見せた。この冷温停止を実現する柱とされるのは、原子炉内に溜まった高濃度汚染水を浄化し、原子炉に戻して冷却のために再利用する「循環注水冷却」システムである。しかし、今回の汚染水の浄化処理は、この循環注水冷却とは別物で、タービン建屋内の汚染水の量を減らすためのもの。このもう一つの汚染水問題が、冒頭で触れたように〝待ったなし〟の状況に追い込まれているのだ。
これまで除染された汚染水の累計は、約15万8000tにも上り、その保管のために東電は10月から、かつて「野鳥の森」と呼ばれていた原発敷地内の森林を伐採。東京ドームの8倍もの広さの土地を作り、11万tの汚染水を収容するタンクを設置してきた。しかし、これらのタンクもすでに容量の8割にあたる約9万tが一杯になっている状態である。現在、現場では急ピッチで追加の保管タンクが準備されているが、タービン建屋地下の汚染水の量は一向に減らない。その理由は、タービン建屋に大量に流入している「地下水」だ。
「タービン建屋地下の壁には、震災前からひび割れがあり、原発事故以降、そのひび割れが大きくなったのでしょう。9月の時点で、毎日200~500tの地下水が流入していると言われるようになりました」(前出・原発作業員)
解決策は「ない」
地下水の流入が止まらなければ、タービン建屋地下の汚染水は溜まって行く一方であり、保管タンクを作っても作っても足りない。東電は、この致命的な問題にどう対処するつもりなのだろうか。
「地下水の流入を防ぐために、タービン建屋に止水工事を行っていますが、現在でも完全に止めることはできていません。今のところ、はっきりとした解決策はない状態です」(東電広報部)
現段階では何も手がないというのである。しかも、仮に地下水の流入を防ぐことができ、建屋の地下に溜まった汚染水をすべてタンクに収容できたとしても、今度はその水を最終的にどう処理するのかという問題が残る。これについても東電は、「現段階で公表できるものではない。今後解決策の検討をしていく」(同前)と言うに留まったのだ。元日本原子力研究所研究室長の笠井篤氏はこう語る。
「セシウム吸着塔を通ることで汚染水の放射線量は減りますが、依然として少量のセシウム137などの放射性物質は含まれています。それを最終処理するためには何度も『ゼオライト』などの吸着剤に吸着させ、さらに汚染度を下げてから海に流す方法が考えられます」
- 大地震 みなさん、準備は出来ていますか 「この1年の間に来る」と話す地震学者たち (2012.02.15)
- あのとき、経営は判断を誤った 会社がダメになった瞬間 (2012.02.14)
- わずか20年後には始まる 一気に4000万人が消える!人口激減社会ニッポン これがあなたの子と孫の未来だ (2012.02.13)
- 科学的根拠が乏しく、東京都福祉保険局は立ち入り調査へ 福島の園児が受けた「(怪しい)毛髪で判る内部被曝検査」 (2012.02.12)
- 緊急特集 完全保存版 東京「震災避難マップ」で我が身を守る 巨大地震からどうやって逃げる、どこへ逃げる (2012.02.11)
- スクープ!福島第一原発現場からの内部告発 流れ出す放射能汚染水 (2011.07.06)
- 「東電任せでは10万tの汚染水が流出!」 (2011.06.11)
- メルトアウト「核燃料」地下水直撃の恐怖! メルトスルーを超える最悪の事態 (2011.07.08)
- これが真実だ!「止まらない!福島第一原発建屋内の汚染水地獄」 (2011.05.20)
- 政府はこれも隠している 高濃度汚染水は地下水になった (2011.06.22)
-
World Biz Newsインド最強企業「タタ財閥」43歳の次期経営者の手腕 (2012.02.15)
-
経済の死角大地震 みなさん、準備は出来ていますか 「この1年の間に来る」と話す地震学者たち (2012.02.15)
-
賢者の知恵岡田正彦・新潟大学医学部教授 長生きしたければがん検診は受けるな (2012.02.15)
-
-