「高校無償化」 ハルモニたちが文科省に要請
”差別はもうたくさん”〝孫を苦しめないで〟
朝鮮学校への「無償化」制度の即時適用を求める一 行 |
朝鮮学校に孫を通わせているハルモニ(祖母)の会のメンバーら8人が13日、文科省を訪れ、朝鮮学校に対し「高校無償化」制度を早急に適用することを求めた。一行は、野田佳彦首相と平野文博文科相あての要請書を提出した。
朝鮮学校に孫を送る1、2世のハルモニたちは、植民地時代に渡日し差別を受けてきた体験や、日本で生まれ日本学校に通い、祖国解放後に初めて自国の存在を知ったという悲しい経験などについて述べながら、日本当局の在日朝鮮人に対する差別政策は当時から何も変わっていないと指摘。このような非情なことが、自身の親の時代から孫の代に渡るまでまかり通っていることに、憤りを禁じえないと訴えた。
金貞花さん(千葉県在住)は、「日本政府をはじめ一部の知事たちは、在日朝鮮人たちの然るべき権利に対して、いつも『やってあげる』という言い方でものを言う。21世紀になった今もそれを通そうとする卑怯さに胸がえぐられる思いだ」と厳しく指摘した。
康敬順さん(東京都在住)は、これまでも在日朝鮮人は中・高体連やJR定期券問題、大学受験資格など民族教育と朝鮮学校生徒の権利をたたかって勝ち取ってきた。朝鮮学校の子どもたちはラグビーで全国大会に出場したり、作文コンテストで内閣総理大臣賞を受賞したりと、立派に育ち日本学校の生徒と比べても何らそん色なく普通に学校生活を送っているのに、なぜ「無償化」の対象から外されなければならないのか理解ができないと述べた。また、「みんな納税義務を等しくしっかりと果たしているのに、教育の現場で得られる権利が私たちだけ違うのか。明らかに差別だ」と訴えた。
埼玉県在住の金福連さんは、自身が日本学校に通っていた頃は毎日つらいいじめを受けていたが、わが子も幼稚園の頃、心ない友だちから暴言を浴びせられることがあった。それは大人の考えや発言が影響しているとしながら、「私たちが子どもや孫を朝鮮学校に通わせているのは、朝鮮人としての自覚を持ってほしいから。日本学校では、それはできない」と話した。
幼い頃、日本に渡ってきたという金永愛さん(東京都在住)は、植民地時代に受けた差別を70年が経った今も忘れられないと訴えながら、「日本政府には人権平等の思想が根付いていない。過去清算もできておらず、差別政策は変わっていない。しっかりと、心ある対応をすべきだ。孫たちは朝鮮人としてのアイデンティティーを持つことだけでなく、いかに日本や世界に貢献し生きていくかを朝鮮学校で学んでいる」と語った。