香港(CNN) 東京電力福島第一原子力発電所2号機の温度計が異常に高い値を示した問題で、東電などは13日、原因は温度計の故障にあるようだとの見方を示した。
東電によると、2号機の原子炉圧力容器底部にある温度計が示す値は2日から徐々に上がって13日には89.2度まで上昇。上下20度の誤差を含めると100度を突破して「冷温停止」前の状態に戻ったことになり、深刻な事態も予想された。
しかし原子力専門家は、原因は温度計の故障にある可能性が高いとの見方で一致している。米国の原発運営に携わった経験を持つマイケル・フリードランダー氏はCNNの取材に対し、福島第一原発が再度爆発を起こす危険は「事実上ゼロ」だと話し、「もし原子炉が危機的状況になるとすれば、今ではなく昨年3月にそうなっていたはずだ」と指摘する。
もう1つ考えられる原因として同氏は、可能性は小さいとしながらも、過去1カ月ほどで行った配管の交換工事の際に誤って冷却水が必要な場所から離れてしまった可能性を挙げた。
フリードランダー氏によれば、事故から間もなく1年が経過し、事故を起こした3つの原子炉の残留熱と放射能は比較的低いレベルになっている。現時点で最も危ぶまれるのは環境に及ぼす影響であり、「現実に起こり得る最大の危険は、配管が破断して放射性物質を含んだ水が大量に地下に流れ込んだり、海に流出したりすることだ」という。
現在、東電は3基の不安定な原子炉に大量の水を送り込んで冷却する作業を行っており、今後もこの作業を続けながら長期的な事故処理に当たる。現在の状況についてフリードランダー氏は「原子炉は昨年4月の時点に比べて安定性が増したわけでも後退したわけでもない。基本的に、水を入れては出す冷却の仕組みに頼り続けている状態だ」と解説する。
事故処理は今後数十年かけて段階的に実施される計画で、同氏は「まず使用済み燃料プールの安定化を図る必要があるが、その作業はほぼ完了した。次の問題は燃料を原子炉から取り出すことだ。この作業には恐らく4~5年、もしかしたらもっとかかるかもしれない」と話している。