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【社会】

除染講習会に2カ月で5000人

 東日本大震災から十一日で十一カ月。震災直後の東京電力福島第一原発事故では大量の放射性物質が放出され、首都圏で暮らす私たちの身の回りに降り積もった。一部は雨水で流されるなどし、とどまる場所を移している。自然環境から日々の食卓、健康まであらゆる分野に影を落とす放射能汚染の実態を随時、報告する。

 東京電力福島第一原発事故に伴う除染作業がようやく本格化する。国などは昨年末から除染講習会を実施しているが、首都圏の受講者数が、わずか二カ月で約五千人に達している。除染についての教育が業者に義務付けられたことが背景にある。しかし、短期間の講習で専門知識が現場レベルまで行き渡るかどうかは未知数。専門家からは安易な業者任せを戒める声も出ている。 

 厚生労働省は先月、労働安全衛生法に基づき、除染に携わる業者に対して、放射線や除染方法などについての知識を教える「特別教育」を、労働者に施すことを義務付けた。違反した場合は、六月以下の懲役や罰金が科される。

 「特別教育」は、危険業務を対象にしており、被ばくの危険性が伴う除染作業も新たに加えられた。

 ただ、放射線などの専門知識を必要とする講習を、業者が自力で実施することは難しいため、各都県にある同省労働局などが、代わりに講習会を開催し、各業者の代表らが出席している。

 一方で環境省も、除染方法などを解説する講習会を、東京や大阪などで開いている。受講すれば、厚労省が義務付ける「特別教育」を受けたものとみなされる。

 受講者数は環境省、各労働局、建設業者などでつくる「建設業労働災害防止協会」の支部などが、昨年十二月から今月九日までに首都圏で開いた講習会の参加者数を集計した。

 最も多いのは、放射性物質汚染対処特別措置法に基づいて定められる「汚染状況重点調査地域」の市町村が、那須塩原市など八自治体ある栃木県で、千三百七十人。一方、「調査地域」のない東京都でも盛んに開かれ、千四十八人が参加した。

 県によっては、希望者が定員を大幅に上回り、開催回数を増やして対応するところも出ており、受講者数はさらに増える見込みだ。環境省の担当者は「講習会を受けた後でも、分からないことがあれば、除染相談窓口に問い合わせてほしい」としている。 (中山高志)

 

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