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“物価上昇を目標に”ねらいは

2月14日 18時46分

今回の日銀の決定で新しいのは、物価上昇を、日銀として目指す目標に定めたこと。
そもそも日本経済が、はっきりと回復を実感できないのはデフレの影響です。
ここから脱するためにとった対応です。

物価が上がれば、会社は売り上げが増え、私たちの賃金も上がり雇用も増える。
デフレに苦しむ日本としては、こうしたよい循環に持ち込みたいところです。
「物価の番人」と呼ばれてきた日銀の最大の使命は、物価の安定です。
経済成長が続いたかつては、大幅な物価上昇が景気の悪化を招くインフレとの闘いに多くの時間を費やしてきましたが、今は物価の値下がりが続くデフレをどう止めるかが課題に変わっています。
しかし、具体的な物価上昇率を金融政策の目的に据え、その達成に責任を負うことには慎重でした。
そうしたなか、アメリカのFRB=連邦準備制度理事会が先月、2%の物価上昇率を「長期的な目標」にすると発表。
政府からも、日銀が政府と共にデフレ脱却を目指す姿勢をより強く打ち出してもらわないと困るという声が強まっていました。
長引くヨーロッパの信用不安と記録的な円高、これに伴って相次ぐ製造業の大赤字と雇用の削減。
日銀としても踏み込んだ対応を示さないと、デフレを放置しているという批判を招きかねないと、危機感を強めたものとみられます。
日銀が今後目指していく具体的な物価上昇率を1%とすることを打ち出したことについて、農林中金総合研究所の南武志主任研究員は、「1%を目指すと明確にしたことで、分かりやすい政策になった。緩やかな物価の上昇が実現することによって、企業が人件費を抑制するスタンスを弱め、企業の業績拡大につながれば、今後、賃金や雇用の拡大が期待できる面もある」と一定の評価をしました。
ただ、「単に1%と宣言するだけでは、自然に物価が上がるわけではない。また、1%という数字は再びデフレに陥りやすい数字で、国際的にも低く、なぜ2%にしなかったのか疑問が残る」と話しています。
また、このタイミングで物価上昇を新たな目標を定めたことについて、「FRBが先月、物価目標の設定に踏み切ったことに加え、消費税の増税を前に、デフレ脱却や成長促進が求められていることも背景にあるのではないか」という見方を示しました。