妊婦さん困りごとは? 愛知県が妊娠届け出書にアンケート
孤立対策早期に 虐待も予防
妊娠初期から妊婦の悩みを把握し必要な支援をできるよう、愛知県は4月から、各市町村の妊娠届け出書に困りごとなどのアンケート項目を加え、県内で様式を統一する。全国でも珍しい試みという。核家族化や貧困、望まない妊娠、未婚などさまざまな要因で孤立しがちな妊婦を早い段階から支えるとともに、虐待の予防にもつなげたい考えだ。
通常、妊婦は医療機関での妊娠確認後、妊娠届を市町村に提出し、母子健康手帳などの交付を受ける。県児童家庭課によると、届け出書はこれまで市町村ごとに様式が異なり、住所氏名、生年月日、医療機関など母子保健法で定められている届け出項目を記載するだけの自治体も多かった。
今回統一する届け出書は、従来の基本的な届け出事項に加えて、13項目のアンケートを記載。出産回数などに加えて、「妊娠が分かった時はどんなお気持ちでしたか」「困った時に助けてくれる人はいますか」などの質問が続き、喫煙や飲酒、不眠やうつ状態の有無をチェックする項目もある。
また、従来の届け出事項欄でも既婚か未婚か、健康保険の種別で生活保護家庭かどうかを確認する項目を新たに設けた。
厚生労働省が昨夏公表した子どもの虐待死に関する報告書によると、死亡事例の4割以上がゼロ歳児で、望まない妊娠や母子手帳が未発行の事例も多かった。
これらを背景に、県は早期の相談・支援体制の充実が必要と判断。妊娠届け出の段階からケアが必要な家庭を把握し、産科医や保健所と連携して支援していくことを決めた。
届け出書の原案作りに関わった県医師会の可世木(かせき)成明理事は「妊娠全体の中で虐待に至るケースは一部だが、社会的リスクの高い事例を各機関が連携して早期にケアしていくことで、1人でも不幸な赤ちゃんを減らしたい」と話している。
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