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夕刊コラム「紙つぶて」 杉浦真弓(名古屋市立大産科婦人科教授) 妊娠適齢期

(2012年2月6日) 【中日新聞】【夕刊】【その他】 この記事を印刷する

ヒトも一哺乳類 学校はもっと教えて

 昨年秋、雑誌『anan』の表紙に、神田うのさんの美しい妊娠ヌードが掲載されました。最近、女性誌に妊娠・出産特集が目立ちます。『平成23年度子ども・子育て白書』(内閣府)によれば、希望子ども数は男女ともに2人以上で、2040年までに女性が生涯に産む子どもの数、合計特殊出生率は1.75まで改善すると予測されています。そんな予測通りにいくのでしょうか?

 妊娠を望むカップルの約15%が不妊症です。この頻度は20代前半で6%、40代前半では64%という調査結果が以前、米医学雑誌『サイエンス』に掲載されていました。私が行った調査では、平均25歳の未婚女性は95.5%が結婚を考え、91%が子どもを持ちたいと考えていました。

 しかし、「いくつまで自然妊娠が可能か」という選択式質問に、36%の女性が45〜60歳と答えました。平均50歳で迎える閉経時に卵はゼロになるので、50歳以降の妊娠はギネス的。45歳というのはジャガー横田さんの出産報道の影響でしょう。まれな幸運を自分自身も可能と、のんきに考えているようですが、不妊、流産に直面して初めて後悔する女性は少なくありません。

 高校の保健体育や家庭科の教科書には“家族計画”と書いてありますが、不妊症の記載はほとんどありません。ヒトも一哺乳類であり、妊娠適齢期があることを、学校はもっと教えてもいいと思います。

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