TOEIC問題漏えい、知的財産権を無視する韓国社会

業界1位のハッカーズグループ会長ら役員6人を起訴

 これに対し、ハッカーズ側は報道資料で反発した。「既出問題を復元するのは教育界で長きにわたって行われてきた慣行で、われわれが教材に使用した問題は既出問題を作り変えたものや、出題傾向を見ながら新たに作成したものであり、著作権法には違反していない」と主張した。業務妨害については「特殊装置を使用した点については反省しているが、一度出題された問題が全く同じ形で再び出題されることはないため、業務妨害罪も成立しない」と反論した。

■知的財産権の侵害に罪悪感を持たない風潮が原因

 今回の事件について、検察は「犯罪」だと判断したが、一部の受験生たちは「ハッカーズの問題復元は、最近の塾や予備校では当たり前のサービスだ」という反応を見せている。

 だが、ソウル大学法学専門大学院のチョン・サンジョ教授は、今回の事件について「試験問題を出題した側が公開を許可していない今回のようなケースでは、著作権者であるETSの許可なく問題を無断で学生に配布することは厳然たる著作権侵害だ」と指摘している。

 予備校関係者たちは「今回の事件は、高い点数を取るためなら手段や方法を選ばないという韓国社会の風潮によって生み出された」と指摘した。ソウル市江南区にあるTOEIC受験専門塾の講師、ユンさん(48)は「学生たちはいい点数を取ることだけを望んでおり 今回の事件は、そうした学生の要求に塾側が何とかして応えようとしたために起きたもの。実際の試験に似た問題を(練習問題として)出題する塾に通っても、向上するのは実力ではなく点数だけ」と話す。

 教育専門家は「TOEICやSAT(米国大学進学適性試験)の既出問題を使って勉強するという傾向は韓国で特に目立っている。米国などではこのような行為も広い意味でのカンニングとみなされる」と指摘した。以前塾の講師をしていたキムさん(32)は「塾の受講生たちは当たり前のように『既出問題を教えてほしい』と言ってくる」と話した。

アン・ジュンヨン記者
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