2011年12月15日 20時34分 更新:12月15日 23時29分
東京電力福島第1原発1~4号機の廃炉処理について、経済産業省と東電が作成した廃炉工程表の全容が15日分かった。使用済み核燃料プールの燃料や、原子炉内の溶融燃料の回収などを3段階に分けて実施し、廃炉終了まで30~40年間を要するとの計画を盛り込んだ。政府と東電は16日に原子炉の「冷温停止状態」を宣言後、今月下旬に廃炉工程表を発表する。
廃炉工程表は、プール内の燃料を回収する第1期(来年~2014年)▽格納容器修復などを実施する第2期(15~21年)▽原子炉内の溶融燃料を取り出す第3期(22年~)--と設定した。
第1期では、各号機の燃料を保管する共用プール(1~4号機の南側)から燃料を順次取り出して空け、2年後の14年に4号機プールから順番に燃料を回収し、共用プールに移す。内閣府原子力委員会の専門部会は、プール燃料の回収時期について「15年以降」と提言していたが、細野豪志・原発事故担当相の指示を受けて、1年前倒しした。
第2期では、損傷した格納容器を修復したうえで、燃料から出る放射線を遮蔽(しゃへい)するため、格納容器全体を水で満たす冠水(水棺)を実施する。第3期では、遠隔操作クレーンで溶融燃料の取り出しを始め、終了は最短でも30年後(42年)。燃料の回収が難航すれば最長で40年後(52年)になるとした。1~4号機のプール内には3108本、1~3号機の原子炉内には1496本の燃料が残っており、廃炉にはこれらをすべて回収する必要がある。【中西拓司】