北朝鮮で銅像の破壊、政権を非難する落書き相次ぐ

尹相炫議員「金正恩氏が政権を握って以降、北朝鮮では“金氏王朝”への挑戦が増えている」

 昨年10月に咸鏡北道会寧にある金正淑(キム・ジョンスク)氏=故・金正日(キム・ジョンイル)総書記の生母=の銅像が破壊されたほか、同年4月には平壌にある朝鮮労働党創建記念塔が破損するなど、北朝鮮政府が進める偶像化のシンボル的な建造物が相次いで破損していることが分かった。

 与党セヌリ党の尹相炫(ユン・サンヒョン)議員は12日、国内外で活動する情報機関から提供された資料に基づき「金正恩氏が政権を握ったころを前後し、金日成(キム・イルソン)一家の権威を否定する動きが徐々に増加している」として、上記の内容について明らかにした。

 尹議員が公表した資料によると、昨年2月に平壌市内にある万景台のドアが盗難に遭った。金日成主席の生家とされる万景台は、北朝鮮で最高の聖地とされている。金総書記と最も近い側近とされていた朱霜成(チュ・サンソン)人民保安部長(警察庁長に相当)が昨年3月に解任されたのも、この事件が大きく影響したという。

 昨年9月には主な大学や市場などの周辺で「世襲は社会主義への裏切り」「金正恩を打倒せよ!」などの落書きが発見されている。北朝鮮の内部事情に詳しい消息筋はこの問題について「昨年6月には平壌鉄道大学などで金氏王朝を非難する落書きが発見され、公安当局は大騒ぎになった」と語った。事件直後、北朝鮮は主要大学を対象に10カ月間の休校措置を下した。上記の消息筋は「表面的には強盛大国の宣布を前に、大学生を工事現場に動員するためとしているが、実際は学生の動揺を事前に抑えることが目的だった」と述べた。

 2009年11月に貨幣改革が失敗して以降、北朝鮮住民が公権力の不当な対応に対してあからさまに不満を表明するケースが増えた。市場の商人たちが公安担当者の過剰な取り締まりや横暴に対抗し、棒切れやシャベルで対峙(たいじ)しながら罵声を浴びせるケースも珍しくなく、時には公安側が暴行を受け、殺害されることもあるという。公共施設への放火や襲撃事件も、昨年7月に集中していた。

李竜洙(イ・ヨンス)記者
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