大阪市が全職員を対象に実施している政治・組合活動に関するアンケートで、組合活動への参加経験や、特定の政治家を応援する活動への参加の有無などを尋ねていることが分かった。こうした質問は不当労働行為に当たるとして、市労働組合連合会(市労連、約2万8000人)は13日、大阪府労働委員会に救済を申し立てる。アンケートは橋下徹市長の職務命令で、16日までに記名式での回答を義務付けている。【原田啓之】
アンケートは、橋下市長が問題視する労組や職員の政治活動の是正に向け、今後提案する労組適正化などの条例案に反映させるのが狙い。今月10日に約3万8000人の全職員のうち、法律上組合に加入できない消防局を除く職員に配布した。回答しなかったり、虚偽の回答をしたりした場合は処分を検討している。
質問は全22項目。組合活動への参加経験の有無を確認する質問に、市労連側は「職員が労働組合に入りづらくなり、団結権を侵害する」と主張。特定の政治家を応援する活動への参加の有無を尋ねていることを、「憲法が保障する思想信条の自由を侵害する」と批判する。
市労連は、アンケートが労組への不当な支配介入で、労働組合法が禁止する不当労働行為に当たると主張。アンケート中止に加え、回収したアンケートの使用中止とデータ廃棄も求める考えだ。
市労連の田中浩二書記長は「通常ではありえないアンケートを職務命令で義務付けている。職員基本条例案などの問題もあるので徹底的に戦いたい」と話している。橋下市長は「不適切な行為の実態解明で、思想には踏み込んでいない。細かく調査するのはトップとして当然だ」と述べ、アンケートが法的に問題ないとの考えを示している。
また、市庁舎から労組の事務所退去を求められている問題で、市労連は11日、来年度の使用が認められなければ、不許可処分の取り消しを求める行政訴訟を起こすことも決めた。
毎日新聞 2012年2月12日 大阪朝刊