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仙台市民意識調査 「国の震災対応不満」8割 県・市は6割
東日本大震災以降の行政の働きについて、仙台市民の約8割が国に、約6割が宮城県と市に不満を抱いていることが、立教大と東北大の意識調査で分かった。被災地での大規模な世論調査は初めて。震災と福島第1原発事故で露呈した一貫性やスピード感に欠ける政府・民主党の対応に、より批判が集まった形だ。 調査は、立教大の間々田孝夫教授(経済社会学)と東北大の河村和徳准教授(政治意識論)のグループが昨年11〜12月、仙台市全域から無作為抽出した市民2100人を対象に訪問方式で実施。防災、生活の分野を中心に、約50項目を質問した。暫定の回収率は72.7%。 国の震災後の仕事ぶりをめぐり、「不満」と答えたのは33.7%、「どちらかといえば不満」も45.9%に上った。他方、県市では「不満」が16.5%、「どちらかといえば不満」は44.5%で、不満度は国より18.6ポイント少なかった。 国の仕事ぶりに「満足」「どちらかといえば満足」と回答したのは計20.4%、県市では計38.9%とほぼ倍の開き。国に「どちらかといえば不満」でも、県市に対しては「どちらかといえば満足」と答えた人が13.2%おり、国への評価が相対的に厳しい傾向がうかがえる。年代別では50代で不満の割合が高く、20代で比較的低かった。 原発の在り方については、「代わりのエネルギー開発を急ぎ、早めに停止すべきだ」が54.9%で最多。「検査や対策を十分に行いつつ維持すべきだ」が14.9%、「長い時間をかけて廃止の方向へ」が14.7%、「すぐにでも停止すべきだ」が11.1%と続いた。 生活面では、自分が被災者と「思う」が48.8%、「思わない」が21.7%で、「どちらともいえない」が29.5%。震災後、近所付き合いが深まったかどうかは「(どちらかといえば)思う」の肯定派は計54.7%、「(どちらかといえば)思わない」の否定派は計45.3%。震災ボランティアの経験では、75.5%が「しなかった」と回答した。
◎情報発信の仕方/不満度に影響か 河村准教授の話 国の動きが直接見えにくいことを考えても、不満度で県市と差があったのは意外な結果。情報発信の仕方、地方分権との関係もあるかもしれない。原発へのスタンスは、冷静な判断に見える。震災ボランティアの少なさは、NPOなどを通して地域の枠を超えてどのように協働するか、東北の課題と言える。行政には、直接の被災者ではない「1.5列目」の被災者の意識を聞く姿勢も求められる。
2012年02月12日日曜日
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