'06/5/10

ヘボン=ヘップバーン 目次
吉見 吉昭

 『ギョエテとは俺のことかとゲーテ言い。』に倣えば,『ヘップバーンとは俺のことかとヘボン言い。』になるでしょう。ヘボン式ローマ字の創始者であるヘボン(1815〜1911)の姓は,英語で書くとHepburn で,女優のオードレー・ヘップバーンと同じスペルです。ローマ字の Hepburn が自分でヘボンと書いたように,そのほうが Hepburn に近い発音なのです。つまり,ヘボンは発音重視で,ヘップバーンはスペル重視と言えます。メリケン波止場のメリケンも,アメリカン・コーヒーのアメリカンより American に近い発音ですが,日本人の多くがアルファベットが読めない時代には,耳から入った英語をカタカナで表した一方で,近年は,目から入ったスペルをカタカナ化していると言えそうです。ミシンとマシンにも同じことが言えます。

 
1950年のシアトルには,相当数の日系人がいましたが,一世のほとんどは英語が苦手で,church ⇒『チョイチ』,バスを降りるときは I get off ⇒『揚げ豆腐』と発音すれば通じるというぐあいに子供の二世に教わっていました。余談ですが,数の十は,そのまま『ジュウ』と言うとユダヤ人が振り返るというので,1091⇒『クイチ』と暗号化するという気配りもしていました。

理系人による実践的英語術