中日スポーツ、東京中日スポーツのニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 中日スポーツ > 芸能・社会 > 紙面から一覧 > 記事

ここから本文

【芸能・社会】

グラミー前日ホイットニー急死 ロスのホテルで発見される

2012年2月13日 紙面から

 主演映画「ボディガード」の主題歌「オールウェイズ・ラブ・ユー」などを大ヒットさせ、グラミー賞6回を誇る米国の歌手ホイットニー・ヒューストンさんが11日(日本時間12日)、急死した。48歳の若さだった。共同電などによると、米ロサンゼルス近郊の高級住宅街ビバリーヒルズのホテルの客室で倒れているのをボディーガードが発見した。死因は不明だが、警察は「事件性を示す兆候はない」としている。比類ない歌声で世界を魅了しながら、一時は麻薬におぼれ、復活した歌姫。くしくもグラミー賞授賞式の前日の悲報となった。

 世界を代表する実力派R&B歌手の突然の訃報は世界中に大きな衝撃を与えた。

 米メディアによると、ヒューストンさんは12日の「第54回グラミー賞」の発表・授賞式に出席するため、ロサンゼルスに滞在しており、11日夜は滞在先のビバリー・ヒルトンホテルで開催されるパーティーに出席予定だったという。11日午後3時55分(日本時間12日午前8時55分)に死亡が確認された。地元警察は「事件性を示す兆候はない」として他殺の可能性を否定した。

 ヒューストンさんの遺体が見つかったホテル近くの路上では夜になって、ろうそくを持ち、ヒューストンさんの曲を歌うファンの姿もあった。

 ヒューストンさんは米ニュージャージー州生まれ。伝説的なゴスペルシンガーだった母シシーさんの影響で幼少時代から音楽を始め、83年にナイトクラブで歌っているところを大物音楽プロデューサーに見いだされた。

 1985年のシングル「すべてをあなたに」から7曲連続で全米シングルチャート1位を獲得。デビューアルバム「そよ風の贈りもの」は全世界で2500万枚のセールスを記録し、“世界で最も売れたデビューアルバム”と言われている。

 92年、俳優ケビン・コスナーと共演した初主演映画「ボディガード」の主題歌「オールウェイズ・ラブ・ユー」は、全米シングルチャートで14週連続1位を獲得し、自身最大のヒット曲となった。

 同年、R&B歌手のボビー・ブラウンと結婚し、長女をもうけた。ところが、順風満帆とみられていた生活は一変。ボビーの家庭内暴力に加え、大麻やコカイン等の薬物、酒、セックス中毒に苦しみ、2000年にハワイの空港で大麻を所持しているのが見つかり、起訴された。04年に更生施設に入った後、07年にボビーと離婚。人生のどん底を迎えた。

 その逆境を乗り越え、09年に7年ぶりに発売したアルバム「アイ・ルック・トゥー・ユー」が全米アルバムチャートで初登場1位に返り咲き。同アルバムを引っ提げ、10年2月には13年ぶりの来日ツアーを実現させた。

 完全復活を果たし、今後の活躍が期待されていたが、昨年5月に再び薬物依存症の治療を始めたとも伝えられていた。作品の累計売り上げは1億7000万枚を誇るヒューストンさんの身に何があったのか。48歳での旅立ちは、あまりにも早すぎる。

◆なぜ…早すぎる訃報に涙

 訃報を受け、親交のあったアーティストらが、ツイッターなどで続々とコメントを発した。

 ▼歌手マライア・キャリー(41) 地球上で最も多くの慈悲を与えたそのすばらしい声は忘れられることがないでしょう。大切な友人の死去に胸が張り裂け、涙に暮れています。彼女の家族、そして世界中にいる数百万のファンへ哀悼の意を表します。

 ▼歌手リアーナ(23) 言葉が出ない。ただ涙だけ。今は何も考えられない。あなたがいなければ、今の私はいなかった。こうしてグラミーのリハーサルをしていることが不思議な感じ。

 ▼歌手&女優ジェニファー・ロペス(42) 私たちの時代で最高の歌声を持つ一人を失ったことはとても残念。彼女のご家族に、祈りを捧げます。

 ▼歌手浜崎あゆみ(33) RIP Whitney Houston…Still can’t believe it…(ホイットニー・ヒューストンよ安らかに。いまだに信じられません)

◆円熟の声聴きたかった

 洋楽に詳しいDJの小林克也さんの話 テレビで訃報を知り驚いた。デビュー当初の「すべてをあなたに」を聴いた時の強烈な印象は今も鮮明で、その輝きは忘れられない。スターになるべくしてなった人。有り余る力を持っていたので、後年は「こんなはずじゃなかった」という気持ちもあったのでは。最近、アデルやノラ・ジョーンズなど古い感じの曲調がもてはやされ、カムバックできる素地はあると思っていた。50代や60代の円熟味ある歌声を聴いてみたかった。

◆歌でも映画でも成功したスーパーセレブだった

 「ディーヴァ〜ホイットニー・ヒューストン物語」を翻訳するなど米音楽に詳しい音楽評論家・吉岡正晴さんに追悼文を寄せてもらった。

    ◆

 ホイットニーがアメリカ音楽業界で残した偉業のひとつは、歌がきっちりと歌える女性シンガーとしての王道を切り開いたところにある。ゴスペルに根付いた基本がしっかりした確実な歌唱、豊かな表現力、オートテューン(機械によって音程などを調整するもの)などを使わずにレコーディングもライヴもしっかりとした歌を聴かせる。最近のアーティストがなかなかライヴで歌が歌えないのと比べ、歌手としての底力があった。また、歌のうまさがレコードのセールスに直接的に繋がったシンガーのひとり。後進のマライア・キャリー、セリーヌ・ディオン、ジェニファー・ハドソンたちの先駆者となった。

 レコード・セールスだけでなく、「ボディガード」以降、映画界でも脚光を浴び、米エンターテインメント界のスーパーセレブとなった点も特筆に値する。歌の世界、映画の世界でどちらでも成功を収めた希有な存在。今秋公開予定の「スパークル」が遺作になる。

 

この記事を印刷する

PR情報

おすすめサイト

ads by adingo




中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日新聞フォトサービス 東京中日スポーツ