試合形式の練習で、新加入の石櫃(右)をドリブルでかわす金崎=実相寺サッカー競技場で
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名古屋グランパスのMF金崎夢生(22)が12日、レギュラー奪取を強烈にアピールした。別府キャンプ4日目のこの日、13対13の変則紅白戦の2本目で鮮やかなシュートを決めた。大分県は、金崎にとってプロ入りから3年間プレーした思い出の地。昨季故障に泣いた若き実力者が、第二の故郷で熱のこもったプレーを続けている。
やはりこの男はモノが違うのか。金崎の放った鮮烈な一撃に、見守ったファンや関係者がどよめいた。右足インサイドでボールをこすり上げながら強くたたき、勢いと曲がりを両立させたスーパーシュート。DF闘莉王ら主力組守備陣の間をぬい、GK楢崎も一歩も動けずゴール右上隅に吸い込まれた。
フィジカルと技術を併せ持つ金崎ならではの芸当に、「インサイド? そうっすね。巻くような感じで狙いました。自分の得意なプレーのひとつではありますね」と事もなげに解説した。
ほぼ毎日紅白戦を行っている今キャンプ。金崎の球際での激しさは随一だ。ピッチ内だけではなく、練習場への行き帰りは同年代以下の若手を率いてランニングで往復。一方で、練習後は入念な筋肉のケアも欠かさない。
昨年は2度の左太もも裏肉離れで離脱し、わずか12試合371分無得点とポジションを失った。あえて口には出さないが、背中から復権への意欲をほとばしらせている。
晴天の日曜日とあって、この日は約450人の観衆が実相寺サッカー場に詰め掛け、選手全員でファンサービスを行った。そこでもやはり金崎が最大の人気者。「大分はプロに入ってからずっとお世話になったんで、感謝もしていますし、いいプレーを見せたいですね」。自分の名前を呼び続ける子どもたちのためにほぼ最後まで残り、ペンを走らせ続けた。
「今年はもっと自分のプレーを出していきたいですね」。ピッチに立てさえすれば、輝く自信はある。第二の故郷を熱い声援を支えに、昨年ためた鬱憤(うっぷん)を倍にして晴らすつもりだ。 (宮崎厚志)
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