科学的根拠が乏しく、東京都福祉保険局は立ち入り調査へ 福島の園児が受けた「(怪しい)毛髪で判る内部被曝検査」

2012年02月12日(日) フライデー

フライデー経済の死角

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「科学的根拠は皆無で、水晶玉で検査をしているようなもの」とQRSの信憑性を否定した菊池教授

 国の研究機関であり、被災者の内部被曝測定に取り組む、放射線医学総合研究所の担当者は、

「髪から放射性物質が検出される可能性は完全には否定できません。しかし、仮に検出されても、その結果で内部被曝の程度を測ることはできません」

 と否定し、前出の菊池教授も断言する。

「そもそも毛髪から波動は出ていない。内部被曝を計るなんて不可能です」

 これらの状況を踏まえ、東京都福祉保健局はQRS検査を実施した「生理科学研究所」に立ち入り調査をする意向だ。冒頭の保護者はこう怒りを露にした。

「仮に、いかがわしい業者で検査が嘘だとしたら、私たちは本当に内部被曝を心配して検査を受けたのに許せません」

 みその幼稚園の細谷実園長も嘆く。

「原発事故後に放射線量を不安視して退園された方も多い。厳しい経営状態にある園としては、これ以上の退園者を出さないためにも、運動場の除染などをしてきました。検査もその一環として行ったのですが、このような騒動になって非常に残念です」

 行政が実施する内部被曝検査の順番がなかなか回ってこず、不安の中で生活する被災者は、藁にもすがる思いでQRS検査を受けたはずである。また、一連の検査を行った生理科学研究所は検査費100万円以上を手にしてもいる。数多くの問題を抱える被災者を、これ以上追い込んでいいわけがない。

〔PHOTO〕船元康子 結束武郎 霜越春樹

「フライデー」2012年2月17日号より

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