科学的根拠が乏しく、東京都福祉保険局は立ち入り調査へ 福島の園児が受けた「(怪しい)毛髪で判る内部被曝検査」

2012年02月12日(日) フライデー

フライデー経済の死角

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園児に送られた検査結果用紙。放射性物質であるセシウムなどが身体に与えている影響を数値で表す

「QRSとは、米国の医師、アルバート・エイブラムス(1863~1924)が発明したラジオニクスという医療器具がもとになっているものです。広くは、波動測定器と言われるものの一つで『すべてのものには波動がある』という考えに基づいています。ただ、エイブラムス、測定器は、ともに〝インチキ〟として科学界では有名です。科学的には、そのような〝波動〟は実在しないのです」

 医療機器としては国内、国外ともに未認可である。厚生労働省医薬食品局監視指導麻薬対策課の担当者も、

「QRSががんやストレス、さらに内部被曝の状態まで計っているとすれば、医療機器として認識されると思います。しかし、QRSが医療機器として未認可であることを考えると、そのような機器を売る、あるいは授与することは薬事法に抵触すると考えられます」
と、本誌に語った。

 このように、問題点が指摘されるQRSを使用して検査を行ったのは、超音波検診などを行う「生理科学研究所」(東京・品川区)。その申し込みなどの窓口となったのが、ペット用品業者が設立した『日本QRS健康管理協会』(東京・千代田区)だった。同協会に取材をすると、検査の正当性をこのように主張した。

「現在日本国内では60人ほどの医師がクリニックでQRSを使っています。ホールボディーカウンターは、内部被曝の量を単位で測る装置ですが、QRSは体の中に取り込まれた放射能が、その人にどれだけ影響を与えているかを計測することができるんです」

 一方、生理科学研究所のほうは、取材のために連日電話をかけるも、一度も繋がることはなかった。

 科学的には不可解なところが多いが、実際にQRSを使用して診断を行う「東京ハートライフクリニック」(町田市)の中村元信院長は次のように話す。

「毛髪から出ている波動情報は、気のエネルギーのようなものだと考えてください。ただ、それを科学的に証明するのは困難です。その波動情報を得て、検者(検査する人)も波動情報を出す。QRSは、その二つの波動情報が起こす生態共鳴を利用し、様々な病気を測定しているのです」

 QRSの検査結果が他の医学的検査の結果と高い確率で合致し、被検者の体調も改善されると関係者たちは主張するのだが、内部被曝が測定できるかについてはやはり疑わしいと言わざるを得ない。

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