関西に戻ってきた。
ここは僕の出身地である京都の近く。
雅ただよう世界でもある。
学生の頃は地元出身者はあまりそういうところには行かないものだが
ガールフレンドが地方から京都に憧れて出てきた女の子だったためか
その子に連れられて有名どころは全部回った。
彼女たちに共通していたのは、その場所に行く前には
いわゆるその道の作家の本を徹底的に読破して
完全に僕が知っている京都とは別の世界をイメージして
その世界を漂いたいという一種の古典的なノスタルジアだった。
だから、彼女たちをエスコートするときには
僕も彼女たちが愛読する本をすべて読み終えて、同じ感覚にまで
気分を高めてからその場所に行き、時間と空間と、その甘美な
幻想にも似た世界を現実離れした感覚で共有することだった。
それはよそ者に対してきわめて排他的な京都の独特の世界
とはかけ離れたほど、親切で慈愛に満ちた世界だった。
映像の世界に入ったときはもっと際立っていた。
その人は、京都のの上流世界に精通していて
普通の人が出入りできないような場所でも撮影が許可された。
芸者さんや舞妓さんたちの世界、都をどりの歌舞練場での撮影など
まさに雅の極地の世界だった。
さらに陰陽師を撮影したあるビデオエンジニアの方との交流では
まさに平安時代の雅を桂冠することが出来た。
僕の小学校が平安神宮の近くにあったので良く遊びに行った
時に感じたものとはかなり異なって成熟した雅だった。
僕に残っているのは
そのときを綴ったショートストーリーや
映像の世界だけだが、それでも僕は満足だ。
○H○の大河ドラマのスタッフの方とも飲み明かすことがあって
良く作品についての論議をしたけれど
かれらも同じような感覚と価値観を持っていたのが印象深い。
この世界はあまりにも奥が深くて、そのよさを語りつくせ無いけれど
この世界に積極的に参加しようとする人には必ず
その甘美で神秘的な扉をひらいてくれるだろう!
Amebaおすすめキーワード