難病の6歳、思い届き入学へ 京丹後・家族愛も支えに

小学校に入学が決まった陽南莉ちゃんとめぐみさん(京丹後市大宮町・善王寺保育所)
小学校に入学が決まった陽南莉ちゃんとめぐみさん(京丹後市大宮町・善王寺保育所)

 難病の脊髄性筋萎縮症(SMA)と闘う京丹後市大宮町善王寺の戸波陽南莉(ひなり)ちゃん(6)が今春、地元の小学校に入学する。筋肉が衰え、全身が動かなくなる病気だが、「保育所の友達と同じ学校に行きたい」という陽南莉ちゃんの思いをかなえるため、家族らが粘り強く市教委と交渉した。専門家によると、SMA患者が普通小学校に通学するのは府内で初めてという。

 陽南莉ちゃんは、生後半年でSMAのⅠ型と診断を受けた。人工呼吸器を装着しながら、わずかに動く指で会話補助装置を使って意思を伝えている。

 昨年5月から自宅近くの保育所に週1回、たんの吸引などをしてもらうヘルパーと一緒に通い、友達もできた。そんな中、「みんなと同じ小学校に行きたい」と母めぐみさん(38)に伝えたため、地域の大宮第一小への入学を目指し、めぐみさんは昨秋から市教委と交渉を始めた。

 陽南莉ちゃんが通学するためには、医療ケアを担う看護師らを配置する必要があり、市教委は当初、人的な態勢が整う支援学校への入学を勧めた。これに対し、めぐみさんは何度も思いを伝える一方、SMA家族の会の医療アドバイザー・鈴木真知子京都大教授や支援者らの助言もあり、1月末に同小への入学許可を得た。

 入学後は、同小に設ける特別支援学級に通い、専用のカリキュラムで学ぶ予定で、サポートする看護師らを交え、学校や市教委、めぐみさんらが緊急時の対応や連絡態勢などについて話し合う。

 学校生活への不安は残るが、めぐみさんは「皆さんのおかげ。他のお子さんと一緒に過ごせることに感謝したい」と話し、陽南莉ちゃんも「すごくうれしい」と喜んでいる。

 ■脊髄性筋萎縮症(SMA) 脊髄にある運動神経の細胞が病変し、体幹や四肢の筋力低下と筋萎縮が徐々に進む神経疾患。発症時期によってⅠ~Ⅳ型に分かれ、国内の患者数は700~1400人と推計されている。

【 2012年02月11日 09時30分 】

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