メンバー

教授 北川 浩史
准教授 佐藤 隆史
助教 沢津橋 俊
助教 諸岡 信克
研究員
:イーカーリー カレン
技術補佐員
:齊田 佳織
技術補佐員 :三宅 由花
教室秘書 :須田 明日香
学生 :溝端 健亮
学生 :木下 優美
学生 :松本 圭司
学生

:千田 摩耶

 

教授 北川 浩史 Hirochika KITAGAWA


連絡先
kitagawa.jpg
TEL 027-220-8855
FAX 027-220-8889
e-mail kitagawa@showa.gunma-u.ac.jp(@を半角英数字に変更してください。)

所属学会

日本内科学会、日本内分泌学会、日本骨代謝学会、日本分子生物学会、日本生化学会



学歴及び職歴

1994.6 東京大学付属病院第4内科研修医
1994.12 東京大学付属病院第2内科研修医
1995.6 公立昭和病院救命救急センターレジデント
1995.12 東京大学付属病院放射線科研修医
1996.6 茨城県立中央病院内分泌代謝内科 常勤医師
1997.6 徳島大学第一内科医員
2001.4 東大分生研核内情報協力研究員
2002.4 東大分生研核内情報助手(助教)
2003.4 アメリカメルク研究所Visiting Scientist
2005.3 東大分生研核内情報助教
2008.1 東大分生研若手研究者自立促進プログラム特任講師
2009.11 現職


受賞歴

2002.9 アメリカ骨代謝学会(ASBMR) President book's award
2002.7 日本骨代謝学会 優秀演題賞
2003.5 日本内分泌学会若手研究奨励賞
2007.6 日本内分泌学会研究奨励賞


専門分野

内分泌学、分子生物学、生化学

臨床内分泌医を経て生化学的なアプローチを中心した分生物学者となる。これまでは一貫して核内受容体転写制御メカニズムの解析を行ってきたが、今後は「慢性炎症」という病態を制御する因子の解析を通して、新しい創薬標的を見つけていきたいと思っています。


これまでに行った主な研究内容
「エピゲノム制御因子の機能制御破綻に起因する疾患の解析」

ビタミンD受容体(VDR)にリガンド非依存的に結合し、他の転写共役因子複合体のプロモーター上への結合を補助する新規ATP依kfig1.JPG存性クロマチン構造変換因子複合体WINAC (WSTF Interacting Nucleosome Assembly Complex)は、様々な場面で機能するエピゲノム制御因子複合体です(図1)。







この複合体の構成因子の一つであるWSTF kfig2.JPG(Williams Syndrome Transcription Factor) は妖精様顔貌、心血管系の異常、精神遅滞などとともに、一過性のカルシウム代謝異常を伴う遺伝性多臓器疾患のウィリアムス症候群における欠損遺伝子の1つです(図2)。









このWSTFのノックアウトマウスを作成して解析することによって、WSTFウィリアムス症候群のカルシウム代謝制御だけではなく、心臓の発生において重要であり、心血管障害の一部はWINACの機能異常に起因していることが明らかになり、ウィリアムス 症候群を新しくエピゲノム制御因子の機能破綻によって引き起こされる「エピゲノム制御因子病」としてとらえることができました(図3)。

kfig3.JPG



関連論文

1) Kitagawa, H., et al.: The chromatin remodeling complex WINAC targets a nuclear receptor to promoters and is impaired in Williams Syndrome. Cell, 113, 905-917, 2003.
2) Fujiki, R., et al.: Ligand-induced transrepression by VDR through association of WSTF with acetylated histones. EMBO J., 24, 3881-3894, 2005.
3) Yoshimura, K. & Kitagawa, H., et al.: Distinct function of 2 chromatin remodeling complexes that share a common subunit, Williams syndrome transcription factor (WSTF). Proc. Natl. Acad. Sci. U S A. 106, 9280-9285, 2009.
4) Oya, H., et al.: Phosphorylation of Williams syndrome transcription factor by MAPK induces a switching between two distinct chromatin remodeling complexes., J. Biol. Chem., 284, 32472-32482, 2009.




准教授 佐藤 隆史 Takashi SATO


連絡先
sato.jpg
TEL 027-220-8871
FAX 027-220-8889
e-mail taksato@showa.gunma-u.ac.jp(@を半角英数字に変更してください。)


所属学会

日本分子生物学会、日本内分泌学会、日本骨代謝学会、日本農芸化学会、日本細胞生物学会


学歴及び職歴

1995. 3 東京農業大学農学部農芸化学科卒業
1997. 3 東京農業大学大学院農学研究科農芸化学専攻博士前期課程修了 修士
2001. 3 東京大学大学院農学生命科学研究科応用生命工学専攻博士課程修了
2001. 4 東京大学分子細胞生物学研究所核内情報研究分野 科学技術振興事業団 CREST派遣研究員
2002. 6 群馬大学生体調節研究所細胞構造分野 助手(助教
2010. 3 現職


受賞歴

2001.8 日本骨代謝学会奨励賞受賞


専門分野

分子生物学、農芸化学、細胞生物学

学生時代より一貫してノックアウトマウスの作製、解析を基礎とした研究に数多く取り組んでいる。今後も各種ホルモンに依存的な核内受容体分子の複雑な転写調節機能が個体の生理現象にどのように関わっているかをノックアウトマウスの解析から詳細に解明していきたい。

これまでに行った主な研究内容

「蛋白質の働きと病気の関係を探る。-ノックアウトマウスによるアプローチ-」

現在世界中では、遺伝子や蛋白質の働きから生命現象の仕組みを研究するためにさまざまな手段が使われています。その中でKOマウスを使った研究は遺伝子の一部を破壊することであるきまった種の蛋白質を欠失するマウスを作製しその異常を調べる方法です。この方法により、その欠失した蛋白質が、通常は個体のどの種類の細胞でどのような役割を持つかを解明でき、そのマウスの異常とヒトの病気との共通点があった場合、その病気の発症メカニズムや治療法の研究に繋がる重要な知見をもたらします。

私が助教時代に研究していたrab8蛋白質は、上皮細胞の細胞膜で性質が大きく異なる2つの区分をのうちのBasolateral側に分布する細胞膜成分を正しく輸送するために必要な蛋白質と言われてきました。しかし、実際にrab8蛋白質の遺伝子を破壊したKOマウスを作って調べたところ、小腸の上皮細胞でBasolateral側ではなく、逆に腸管の内腔側に面した、Apical側の細胞膜成分が正常に運ばれないことによって栄養吸収障害が起きて死んでしまいます。更にこのマウスの異常はヒトでは微絨毛委縮症という、治療の難しい病気と同じ病態であることを突き止めました(文献1)。

stfig1.JPG


このようにKOマウスを使った研究を行えば、今まで全く予想されない動物体内での蛋白質の重要性を新たに発見することができます。核内情報制御分野では、主に男性ホルモンの作用破綻と疾患の関係を研究するため、男性ホルモンの受容体のノックアウト(ARKO)マウスを用いて研究を行っていきます。


関連論文

1) Sato T., et al.: The Rab8 GTPase regulates apical protein localization in intestinal cells. Nature 448: 366-369, 2007.



助教 沢津橋 俊 Shun SAWATSUBASHI


連絡先
sawatsubashi.jpg
TEL 027-220-8871
FAX 027-220-8889
e-mail s-sawa2@showa.gunma-u.ac.jp(@を半角英数字に変更してください。)


所属学会

日本分子生物学会、日本内分泌学会、日本生化学会、日本農芸化学会


学歴及び職歴

2000. 3 静岡大学理学部生物地球環境科学科卒業
2002. 3 静岡大学大学院理工学研究科生物地球環境科学専攻修了 修士(理学)
2005. 9 東京大学大学院農学生命科学研究科応用生命工学専攻博士課程修了 博士(農学)
2005. 10 東京大学分子細胞生物学研究所核内情報研究分野 博士研究員
2006. 4 科学技術振興機構ERATO 加藤核内複合体プロジェクト 研究員
2010. 3 現職


専門分野

分子生物学、生化学、分子遺伝学

学部・修士課程ではヒト、ニワトリ、カエル、マスといった多様な生物種の血液から甲状腺ホルモン結合タンパク質の生化学的精製を行った。その後は、ホルモンによる核内の転写制御とクロマチン構造調節に興味を持ち、ショウジョウバエを用いた分子遺伝学的手法と生化学的手法を組み合わせ、核内因子の解析を行う。


これまでに行った主な研究内容

「分子遺伝学的手法と生化学的手法から核内現象研究を展開する。-目で見るクロマチン-」

核内受容体スーパーファミリーは、進化的に高度に保存された転写制御因子群であり、ショウジョウバエ核内受容体の一種、エクダイソン受容体(EcR)も高等動swfig1.JPG物と同様な制御機構を介して、リガンドであるエクダイソン依存的に転写を活性化する転写制御因子として働きます (図1)。





核内受容体が遺伝子発現のオン・オフをコントロールするためには、周辺の足場となるクロマチン環境を開いたり、閉じたりする必要があり、これを制御する因子群(転写共役因子群)も進化的に保存されています。この転写共役因子群のひとつとして、新たにヒストンシャペロン複合体として機能するショウジョウバエDEKを見出し、DEKは弛緩したクロマチン環境を形成するために働くことが明らかとなりました。また、ある種の白血病患者では、ヒトDEKはヒストンシャペロン複合体を形成できなくなることから、DEKの機能破綻と病態との関連性が示唆されました(図2)。

swfig2.JPG

このように、クロマチン環境を整える役割を持つ因子群の機能破綻は、様々な病態に関連するものと予想され、同時に、新規の創薬ターゲット分子としても興味深いと考えています。


関連論文

1) Sawatsubashi S., et al.: A histone chaperone, DEK, transcriptionally coactivates a nuclear receptor. Genes & Development, 24, 159-170, 2010.



助教 諸岡 信克Nobukatsu MOROOKA


連絡先
morooka.jpg
TEL 027-220-8871
FAX 027-220-8889
e-mail amorooka@gunma-u.ac.jp(@を半角英数字に変更してください。)


所属学会

日本分子生物学会、日本農芸化学会、日本比較内分泌学会


学歴及び職歴

2006. 3 東京理科大学理学部化学科卒業
2008. 3 東京大学農学生命科学研究科応用生命化学専攻修士課程卒業
2011. 3東京大学農学生命科学研究科応用生命化学専攻博士課程卒業 (農学)
2011. 4 日本学術振興会特別研究員
2011. 11 現職


受賞歴

2010. 10 25th Conference of the European Comparative Endocrinologists fellowship

専門分野

分子生物学、生物有機化学、生化学

学部時代は有機合成を行っていたが、修士・博士課程では、昆虫の摂食行動に反映されるエネルギー代謝制御に着目し、鱗翅目昆虫の摂食行動を調節するペプチド性の因子を生物有機化学的な手法で同定した。これらの研究過程で、栄養状態を感知・発信する機構を理解することが、エネルギー代謝制御の解明に必須であると考えるに至った。現在は、エネルギー状態の発信機構として機能する遺伝子の発現制御に興味をもっており、これらを司るエピゲノム制御因子の同定および機能解析を行っている。


これまでに行った主な研究内容

「鱗翅目昆虫の周期的な摂食行動を制御する新規ペプチド性因子(HemaP)」

チョウやガなどの鱗翅目昆虫の幼虫は、摂食モチベーションの変動によって作られる周期的な摂食行動を行っています。近年、昆虫の摂食行動は体内の様々な因子群の協調によって、促進的または抑制的に調節されていることが明らかとなってきました。一方、摂食モチベーションは、環境などの外来性の要因や体内の栄養状態などの内在性の要因によって調節されていると考えられています。私は、カイコ幼虫の体液から摂食行動の周期性を調節する新規のペプチド性因子としてHemaP (Hemolymph major anionic peptide)を同定しました。HemaPは鱗翅目昆虫間に保存されており、体液中のHemaP濃度は摂食周期にわずかに先行し周期的に変動します。さらに、体液中のHemaP濃度の上昇は、幼虫の摂食モチベーション、摂食量、消化率を顕著に上昇させます。HemaPの作用機構を解析した結果、HemaP濃度の上昇が食道下神経節で感知され、ドーパミンが分泌される結果、カイコ幼虫の摂食に関連する一連の行動を惹起させることが明らかとなりました(図)。


HemaPの分子機構.jpg 

 

関連論文

1) Morooka N., Nagata, S., et al.: A hemolymph major anionic peptide, HemaP, motivates feeding behavior in the sweetpotato hornworm, Agrius convolvuli. Genes & FEBS Journal, In press, 2011.

2) Nagata S.,Morooka N., et al.: Identification of a novel hemolymph peptide that modulates silkworm feeding motivation. J. Biol. Chem., 286, 7161-7170, 2011.