JX日鉱日石エネルギー水島製油所B工場(倉敷市潮通)の海底トンネル事故で、自力で脱出した角井健次さん(61)=宮崎県えびの市=が、「(横坑の)奥から走って来た作業員が、トラブルを知らせようとトンネル内の非常電話をかけたがつながらなかった。地上にいた現場責任者を呼んで戻った直後、大量の水が奥から押し寄せてきた」と、当時の様子を詳しく証言していることが11日、岡山県警捜査関係者への取材で分かった。
元請けの鹿島(東京)によると、事故直前の7日午後0時20分ごろ、トンネル内外に計4カ所ある非常ブザーが「ピー、ピー」と警報音を発していたことも判明。鹿島は当初、警報設備は未設置だったと発表していた。
捜査関係者によると、角井さんは「作業員が立て坑の底部にある非常電話での通報を諦め、現場責任者の渕原さんを呼びに行った。下りてきたとき、2人はかなり切迫した様子だった」などと証言。その後2人はトンネル奥に入っていき、直後に「水が来る。逃げろ」との叫び声を聞いたと振り返った。呼びに行ったのは、準現場責任者の掘削機オペレーター小荒勝仁さん(47)とみられる。
渕原義信さん(61)は水が押し寄せるまでの間、地上の電気トラブル担当者に携帯電話で「漏電」「ブレーカー」と異常を伝えていた。
トンネル内の非常電話は、横坑先端部2カ所、立て坑底部1カ所の計3カ所に設置されている。
トンネルにいたのは6人で、鹿島や角井さんによると、内壁を覆うセグメントを組む宮本光輝さん(39)が横坑先端。小荒さんと渕原さんが奥に向かう途中で、排出土運搬車両運転手の南坪昭弘さん(57)が横坑の出口付近、角井さんが立て坑の底部、真鳥晴次さん(43)はエレベーターにいたとみられる。
同日午前11時半まで、トンネルに約1時間いた鹿島の清水義雄・水島海底シールド工事事務所副所長は11日の会見で、「予定以上の進行で、きょうは調子がいいと作業員に声を掛けるほど順調だった。兆候もない。全く予期していないトラブル」と話した。
事故は7日午後0時半ごろ、トンネル横坑先端部の約160メートル地点で発生。ほぼ真上の海底で直径約20メートルの巨大なくぼみが見つかった。