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【社会】

被災地医療でキャリア積もう 南相馬 若手医師募る

2012年2月12日 15時00分

若手医師の活躍を期待する南相馬市立総合病院の金沢幸夫院長=11日、福島県南相馬市で

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 東日本大震災で深刻な医師不足に陥っている福島県南相馬市の市立総合病院など二病院が、腰を据えて数年間勤務できる若い医師らの全国公募を始めた。募集は計三十二人。名乗りを上げて被災地医療に尽力した医師が、転職で不利にならないよう、全国の有名病院や基礎医学の研究所のトップらが「被災地後の就職」に全面協力する。 (林勝)

 募集するのは、南相馬市の医療の中核を担う市立総合病院が三十人、透析医療などを行う民間の小野田病院が二人。

 面積の半分以上が福島第一原発から三十キロ圏内に含まれる市では、事故直後に市民が一斉に避難。人口は七万人から一時一万人に減り、現在は四万三千人まで戻ったが、多くの医師や看護師らが離職。市内の八病院のうち二病院が閉鎖され、残りの病院も医師不足に苦しむ。

 特に市立病院は二十一人(非常勤含む)だった医師が震災直後、四人に減少。現在、福島県立医大の派遣で常勤医は十人となったが、入院診療に十分手が回らず、ベッド数二百三十床の六割しか患者を受け入れられない。

 このため、震災後の南相馬市の医療を支援している民間の亀田総合病院(千葉県鴨川市)が医師の全国公募を提案し、南相馬市の桜井勝延市長も賛同。市立病院の金沢幸夫院長(58)は「医療で被災地の復興に直接貢献できる喜びがある。未来の医療を担う優れた人材を育てたい」と意気込む。

 今回は、徹底した患者目線の病院経営で知られる医療法人鉄蕉(てっしょう)会の亀田隆明理事長や、日本を代表するゲノム(全遺伝情報)研究者で東大医科学研究所の中村祐輔教授ら、臨床と研究の第一人者となる医師十三人が協力。現在の職場から被災地に飛び込む医師の最大の悩みともいえる「将来の転職」を支援する。

 亀田総合病院の小松秀樹副院長は「(勤務医の人事や育成を担ってきた)医局を離れても、能力次第で立派なキャリア形成ができることを理解してほしい」と訴えている。

 詳しい募集内容は、二病院のホームページに掲載。

(東京新聞)

 

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