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【愛知】

津波到達時間、市民の認識にズレ 東海・東南海地震など

「地域によって到達時間が大きく違うことを知らせるのも必要」と話す柴山慶太さん=名古屋市千種区内で

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 東海・東南海地震などに備え、名古屋市内などの若者でつくるボランティアグループが、津波に関する市民の意識調査を実施した。大半が、津波が名古屋港に到達する時間を、専門家の「80分はかかる」という予測よりも大幅に早く考えていた。グループは「避難後に『もう津波は来ない』と沿岸部に戻ったり、直ちに来ると思ってパニックにならないよう啓発が必要」と提言する。

 市内や近郊の20〜30代の会社員、NPO職員ら10人でつくる「プロボノ名古屋」が調査。面接やインターネットで、市内に在住、在勤の知人ら119人に聞いた。20代が半分を占め、30代が4分の1。10代と40〜60代を合わせて4分の1だった。

 東海・東南海・南海の三連動地震で名古屋港に津波が来ると答えたのは102人で、9割近かった。

 そのうち半数以上は「20分以内に到達」と回答。「21〜40分」の答えと合わせて8割が40分以内と思い込んでいた。

 名古屋港は伊勢湾の奥に位置し、名古屋大大学院工学研究科の川崎浩司准教授のシミュレーションでは、津波到達に80分はかかるとされるが、「80分以上」と回答したのは2人だけだった。

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 また、避難の手段を聞いたところ、津波が来ると考えた人の7割は「徒歩」と答え、「自家用車」は7人のみ。多くの人が、東日本大震災で車で逃げる途中に被害に遭った例を認識しているとみられる。津波に関する情報をどこから得るかは「勘」「何となく」が7割。震災の報道や出版物は多いにもかかわらず、市民が津波の情報に触れる機会は少なく、実際に役立つ知識に乏しいことをうかがわせた。

 メンバーの1人で、被災地支援をしている柴山慶太さん(27)=北名古屋市=は「津波のことは気にしていたはずなのに、僕も到達時間は30分くらいと思っていた」という。その上で、「教育に組み込むとか、誰にでも分かりやすく伝わるような情報発信を工夫することが必要ではないか」と話した。

 (日下部弘太)

 

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