(仮称)鷺沼4丁目プロジェクトに係る
『環境影響評価審議会』
レポート (2002.6.21掲載)

2002年6月17日(月)、上記表題の「第2回審議会」が執り行われました。

※初回の審議会は5月27日(月)に行われましたが、そこで審議委員から出された
質問に事業者が答えられず、第2回審議まで審議持ち越しとなったものです。

われわれ住民は“傍聴人”(=発言も拍手なども一切できない立場)として出席し、
その内容を注視してきました。以下にそのレポートを記します。

レポート文中にもありますが、この審議会が不成立ではないかという疑念が抱かれる場面があり、私たち『守る会』は、その疑念の原因を作った環境評価室にこのような要望書(もしくは抗議文)を送付しました。目下、回答を待っています。


この第2回審議会に出席した審議委員(=全19人中の12人{残りの7人は欠席}。敬称略、着席順)

1. 戸田 孔功(審議会会長) 横浜弁護士会川崎支部 法律学 専攻
2. (副会長) 発言内容 ※名札プレートがなかったため、名前不明。  
     
3. 加藤 仁美 発言内容 東海大学工学部 都市計画 専攻
4. 川本 克也 発言内容 関東学院大学工学部 環境工学 専攻
5. 坂上 恭助 発言内容 明治大学理工学部 建築環境工学 専攻
6. 須藤 陽子 発言内容 日本社会事業大学社会福祉学部 行政法 専攻
7. 山田 由紀子 ※結局発言せず 明治大学理工学部 建築環境工学(騒音・振動) 専攻
     
8. 新井 恵美子 発言内容 川崎市公害追放市民協議会

(市民代表)
9. 近藤 和子 ※結局発言せず 川崎市総合的環境行政制度検討委員会

(市民代表)
10. 佐藤 朋佑 ※結局発言せず 川崎商工会議所

(市民代表)
11. 堀田 靖二 ※結局発言せず 川崎地域連合

(市民代表)
12. 吉田 勝美 ※結局発言せず 聖マリアンナ医科大学 予防医学 専攻
◎その他、福井和巳室長をはじめとする川崎市環境局 環境評価室(事務局)職員、
 および 東急不動産・田辺雅之課長、オオバ・長尚文課長代理をはじめとする事業者の一団も同席。
 さらに、川崎市まちづくり局職員、川崎市教育委員会らも同席。


◎主なやりとり(要約抜粋)

※まず事業者が、前回審議会(5月27日開催)での委員からの質問を受けて回答

■東急不動産・田辺
建物が高すぎるのではないか。どういう根拠でこの高さにしたのかという前回質問に対して
この計画は「川崎都市計画高度制限の適用の除外」を前提に計画されている
高さを下げると、棟数を増やさなければならない。建物の密度が密になるのでそうはできない
この敷地に一戸建て住宅等を建てることは、事業採算が合わないため、当初から検討していない
と説明。

■オオバ・長
やはり前回審議会で質問され、その場で“不用意にも”回答できなかった項目への回答として
工事中の大気質についてお答えします…
窒素酸化物の環境影響についてお答えします…
ディスポーザー(生活生ゴミ粉砕処理装置)についてお答えします…
風害の環境影響評価についてお答えします…
事後調査の実施についてお答えします…」などと回答をすすめたのち、
“計画変更”による環境影響の変化について…」と説明を行おうとした際、
審議員会長:戸田孔功から議事のストップがかかる。

■審議委員会長・戸田孔功:
事業者は今、“計画変更”と言ったが、計画の変更があるのか。

 注)事業者は5月18日の“話し合い会”において、建物の約5メートルの位置変更および
   階上屋の削除を住民に対して申し出ている。

 もし変更があるのなら、今日ここで審議しようとしている条例準備書の内容が
 変わることになり、本日の審議の意味がまったくなくなる。

(環境影響評価室長・福井に対して)
計画変更はあるのか、ないのか、はっきりさせてくれ

■環境評価室・福井和巳:
(不意の質問に、暫く狼狽した後)
ええと…事業者から計画の変更届は出されていません
 …つまり、“計画変更”は
無いものとし、現状の条例準備書の内容に沿って
 審議をしてください

      ※評価室の、この↑判断に対して『守る会』は不服と疑念を抱いています!

■審議委員会長・戸田:
了解した。では、委員のみなさん、ご意見ご質問はありませんか


■審議委員6・須藤陽子
事業者の説明では“学童急増に対する小学校の受け入れ体制は大丈夫”とあったが、
 こうした教育環境の観点に関する、マンション建築開発指導要綱のようなものは、
 川崎市ではどうなっているのか。

■教育委員:
お答えします。そうした要綱のたぐいは、川崎市では作成しておりません

■審議委員6・須藤陽子
事業者に対する、指導をしていないということですか

■教育委員:
はい、指導をしていません

■審議委員6・須藤陽子
それは大きな問題ですね。そうした指導要綱をつくっていなかったのは、
 その必要がなかったからですか。今後も作る予定はないのですか

■まちづくり局 担当局員:
まちづくり局では(そうした教育環境に関する要綱的なものは)現在の体制で
 
十分充当されていると認識しており、今後、新たになにかの要綱を作る予定はありません

■審議委員6・須藤陽子
そうですか」       (と、ここで、この質疑応答は終わってしまう)


■審議委員会長・戸田:
他の方は、ありませんか

■審議委員3・加藤仁美
前回審議会で加藤氏が質問した)建物の高さの理由については、今回の事業者説明で
 理解をしました。ただし、この説明資料の中で“
建物の高さを引き上げることで、
 建物密度を低くした
”と記述されていますが、これは正しくないですよね。
 
確かに建ぺい率は下がっているけど、容積率は決して下がっていない。つまり、
 
建物密度が低くなっているわけではないんじゃないですか

■東急不動産・田辺
はい。それは確かにそういうことになります

■審議委員3・加藤仁美
資料の文章の言葉が適切ではないと思いますので、気をつけてください

■東急不動産・田辺
承知しました。ただ、“容積率は下がっていない”という件ですが、
 容積率は、法律で定められている200%をしっかり守って設計しております。
 決して容積率を引き上げているわけではありませんので、その点はご了承ください。

■審議委員3・加藤仁美
了解しました」       (と、ここで、この質疑応答は終わってしまう)


■審議委員会長・戸田:
他の方は、ありませんか

■審議委員・副会長
この計画に対する建築許可というのは、誰が出すの?

■環境評価室 職員:
市長です

■審議委員・副会長
「(事業者に対して)この審査がもしダメだったらどうするの?

■東急不動産・田辺
私共は、許可はいただけるという前提でのぞんでおりますので、
 “ダメだったら”ということは考えておりません

■審議委員・副会長
ふーん。わかりました」       (この質疑応答は終わり)


■審議委員会長・戸田:
もっと他の方は、どうですか

■審議委員5・坂上恭助
前回審議会で坂上氏が質問したディスポーザーシステムのことについて
 これを設置することに関して、各関係部署(?)の確認はとっているの?

■東急不動産・田辺
とっています。これで許可をもらえると思っています

■審議委員5・坂上恭助
この配られた資料に、生活ゴミ処理のフロー図が示してあるけど、これ、
 「キッチン排水」も生ごみと一緒に処理することになってますよね?
 これだと処理条件がちがってくるんですよ。これはどうなっているんですか。
 この資料のもととなった論文は、私が関わったものなんですが、そこでは
 生活ゴミ処理のプロセスには「キッチン排水」を含めないで算定しているんです。
 それが、この(事業者作成の)説明資料では違うことになるんですよ。

   (事業者、おろおろうろたえて小声で相談をかわした後に)

■東急不動産・田辺(もしくは別の担当者):
すみません。資料上の図が不備でまちがっていました。いま確認しましたが
 実際に設置されるものは、坂上先生がおっしゃるとおりの“正常な”ものです

■審議委員5・坂上恭助
資料がまちがっているだけなんですね。気をつけてください。
 それから、処理槽はどこに配置されるの?

■東急不動産・田辺(もしくは別の担当者):
こっちの…駐車場の近くです

■審議委員5・坂上恭助
わかりました。実際のものがちゃんと処理能力のあるのもなら結構です


                (この質疑応答、終わり)


■審議委員会長・戸田:
他には、もうないですか

■審議委員4・川本克也
先の坂上先生の質問に関連するが、ディスポーザーで残った後の生ごみの処理は大丈夫なのか?

■東急不動産・田辺(もしくは別の担当者):
それはこれから考えていきます。今後、環境事業局と協議します

■審議委員4・川本克也
工事時、現場を掘り起こした汚泥を運搬することになると思うが、その汚泥の悪臭は
 環境影響評価上、問題にならないくらい微細なものと判断しているのか。
 準備書の内容に、そうした項目が触れられていないが...

■事業者・(別の担当者):
はい。予測評価として入れなくていいものと考えています


                (この質疑応答、終わり)


■審議委員会長・戸田:
他にはどうでしょうか。前回の質問にないことでもかまわないですよ

■審議委員8・新井恵美子
駅周辺の混雑に関して、住民からの意見書にもあったんですが、東急コーチなどの
 公共交通機関が、この新マンションと地域周辺を循環するようにはできないでしょうか。
 意見書のなかで、事業者は“それは考えていない”と述べていましたが、
 マイカー利用の頻度を減らすものとして、改めて考えてもらえないでしょうか。

■審議委員会長・戸田:
それは(環境影響評価ではなく)市の対応として、公共交通のあり方を考えてほしい、
 ということですか

■審議委員8・新井恵美子
ええ、まあ、そういうことです

■審議委員会長・戸田:
わかりました。それは、そういう意見があった、として記録に残しておきましょう


                (この質疑応答、終わり)



■審議委員会長・戸田:
他にはもうありませんか。もしなければ、今日のこの件にかんする審議はこれで終了とします。
 今後の進め方ですが、どのようにしましょうか…………いつものようでいいですか。
 ではいつものように、各委員が個別に審査結果を(環境影響評価室へ)提出することにします。
 提出期限は、いつものように1週間後。
6月24日(月)に、
 個別審査結果を出してください。お疲れさまでした


                (審議会、もうこれで終わり)

※上記はいずれも、質疑やりとりの内容を“要約”して記載していますが、実際の【全内容】も、じつは、この文面でみられるようなあっさりしたものでした。どの審議委員の質問も、まさに尻切れトンボのように終わってしまうものでした。


尚、この審議会以降の動きは、以下のようになります。

(1)6月24日(月)を期限として、各審議委員が「自分の意見」を文書にまとめて
   市環境局 環境評価室へ提出する。
※この各委員の「意見」は住民は閲覧できない。

(2)環境影響評価室は、その各委員の「意見」をまとめて「答申書 原案」を作成する。
   
※この各委員の「原案」も、住民は閲覧できない。

(3)その「答申書 原案」ができた時点で、環境影響評価室は再度、審議委員を召集し、
   その原案を委員に諮って「
こういうまとめ方でいいでしょうか」と合意を得る。

(4)その審議委員会で合意を得ると、それは正式な「答申書」とされ、その答申書を
   環境影響評価室が、川崎市長に「
これが鷺沼4丁目プロジェクトに関する、審議会の
   “答申”です
」と手渡す。

(5)市長はその内容を見て「条例審査書」を作成し、これを事業者への回答とする。

となっています。

              ※環境影響評価の手順に関する詳細フローはこちらをご覧ください。


 

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