市の「開発指導要綱」に関する質問状

『守る会』は、住民の要求に対して「事業者に対して指導を行います」という
一点張りの口調で返答をくりかえす市行政に、
では、それはどのような
指導をするのか」詳細に問いただす内容を列記した
下記の【公開質問状(10)を、2002年
916日、提出しました。

これは市の指導内容を尋ねるものであると同時に、
近隣住民は(この現在の事業計画および市の態度に対して)
これだけ
多くの点で不安と疑念をいだいている
この市民の不安・疑念を払拭することが
つまり行政の仕事ではないか

という、ごく当たり前の論理(もしくは倫理)についての問題提起をつきつけるものです。

この質問状に記した内容への回答を求めることは、市の情報公開条例でも認められていることです。
市の、“真摯なる回答”を待つとともに、
質問状前文で記した通りの
「市による地域住民説明会」の開催を、強く要求します。

10月7日付でさらに新たな質問項目を追加した【公開質問状(追加)】を提出しました。
ここをご覧ください。

 

(10)市が事業者に行う「指導」の詳細内容について問いただした【質問状】

 平成14年9月16日

公開質問状

川崎市長    阿部孝夫 殿
まちづくり局長 福地由矩 殿
関係部局長        殿

鷺沼地域の住環境を守る会 代表

 (仮称)「鷺沼4丁目プロジェクト」において、「鷺沼地域の住環境を守る会」では、下記に記載した項目について、各部局の責任者が現地にて地域住民に対して、その回答を口頭で発表した後、さらに文章で回答することを求めます。なおこの地域住民説明会に、工事の許可権を有する川崎市長の出席を要求します。

 7月31日に公告された(仮称)「鷺沼4丁目プロジェクト」に係わる条例環境影響審査書に対する事業者による評価書が提出されましたが、内容がまことに不十分であり、重大なる欠陥があり、審査書を受けての評価書とは認められません。事業者に下記の資料を提出させることを要求いたします。これらの資料は、8月30日の川崎市議会まちづくり委員会においても、提出を要求されたものです。

【要求資料】

【1】「川崎都市計画高度地区制限の適用除外」をしない場合での計画案を提出し、更に総合的見地から比較を行い、その有効性について証明することを指導してください。
【2】計画地の風洞実験を行った資料を提出し、シュミレーションと比較し、その差異を明確にすることを指導してください。
【3】鷺沼小学校の児童数の予測値は、国庫負担金を算出する際の算出方法であるが、実際値はその予測とどのくらいの差異があるのか、過去20年間の資料を提出してください。

 加えて次の項目を要求します。また、指導をされた項目については、いつどこで誰が誰に何回どのように指導したか、またそれによって事業者がいかなる回答をしたかを詳しく回答していただきたいと思います。
 この計画が建築基準法に合致していたとしても、これほど多大な犠牲を公共環境に強いるものである以上、市政をあずかる市長としては弊害の軽減のため最善の努力を行うべきである。この弊害軽減は、7,726人の署名による請願書をもって臨んだ川崎市議会まちづくり委員会の意向であり、その意向を尊重することをまちづくり局長及び市長代理の砂田秘書部長と平成14年1月24日の話し合いにおいて約束したことであるので、遵守してください。

【要求項目】

【4】中庭状公開空地は、市道鷺沼12号線からは、ピロティのみしか入場できず、使い勝手が悪く、一般に公開された空地とは言いがたい市道鷺沼12号線に面した配置にするよう指導してください。
【5】計画地のA、B敷地では、市道鷺沼70号線から全ての居住者車輌および、商業車が入場することになる。市道鷺沼12号線との交差点は混雑のため危険な状態になるので、12号線に直接車輌が出入りできる設計とするよう指導してください。
【6】B敷地において、建築物が一連になった設計は、防災上、まことに危険が伴うものである。A・B・C棟を大きく切り離し、火災その他の災害があった場合、他の棟への延焼を食い止められるよう建築物を大きく離すよう指導してください。
【7】B敷地の計画は、巾着のように出入り口が狭められています。災害の時、その出入り口が何らかの理由により閉鎖された場合、入居者の避難路がなくなり、極めて防災上危険な状態になる。12号線に直接出入りできる道路を設けるよう指導してください。
【8】B敷地において、400台近くが入る機械式駐車場が一ヶ所に集中し、1台でも火災を起こした時は、他の車のガソリンに次々引火し、大火災が起きる危険性がある。駐車場を分散するよう指導してください。
【9】提供公園を予定しているの場所は、隣接地より低い所にあり、風が吹き上げて隣接建物に多大な被害を与えるため、隣接地とフラットにして、風害を防ぐよう指導してください。
【10】提供公園は、市道鷺沼12号線に面していない閉鎖的で、開放性のない配置となっている。公園内で事故や誘拐、痴漢、わいせつ行為などの危険があり、子どもたちや近隣住民が利用するのには、極めて不適当な位置にある。安全で、地域住民が使いやすい位置に移すよう指導してください。
【11】評価書においても、風環境が悪い場所が2箇所ある。またシュミレーションに表われないビル風や気流による風害も考えられるので、通常の風環境になるよう計画を変更するよう指導してください。また、風洞実験の結果、風環境が悪い場合、建物の高さを低くするよう指導してください。
【12】B敷地内は段差が多いため、災害時に消火活動及び居住者の避難が困難になるので、フルフラットにするよう指導してください。
【13】B敷地において、B棟の一部に消防車やはしご車が出入りできない場所があり、円滑な消防作業ができず、延焼する恐れがある。B敷地のすべてのベランダ側に消防車が出入りできるよう計画変更することを指導してください。
【14】市道鷺沼12号線に面した建物は、すでに居住している一戸建ての家の人たちに対してプライバシーの侵害に当たる。市道に対して、一部屋ずつ斜めに建てるよう指導してください。
【15】市道鷺沼71号線および72号線に沿った歩道上公開空地は、二つの道路が行き止まりで、人家が少なく、利用頻度が低い。利用頻度が高い市道鷺沼12号線沿いに多くの面積の公開空地を設けるよう指導してください。
【16】審査書でも指摘があったように、計画地周辺住民への圧迫感の低減のため、建物の高さを下げ、セットバックさせるよう指導してください。
【17】来客用駐車場がこの計画の規模としては10台とあまりに少なく、周りに違法駐車するのは明白である。5月18日の話し合い会で、事業者もその事実を認めている。このような非社会的な行為を容認する計画を改めるよう指導してください。
【18】工事計画では、最大時には、大型車輌が1日に片道270台進入して来る予定である。これは2分間に1台、大型車輌が往復することになる。このような非常識極まる台数の大型車の進入は、二酸化窒素と二酸化酸素の排出量を増大させ、騒音、振動を伴い、健康にも精神的にも近隣住民に苦痛を与える数値である。また、工事機械による複合汚染も加わることになる。工事の規模を縮小するよう指導してください。
【19】尻手黒川線のような幹線道路は、アスファルトの厚さが35cmで、道路地盤の基礎の強度も強いが、梶ヶ谷菅生線久末鷺沼線鷺沼12号線は、アスファルトの厚さは15cmから10cmであり、道路基盤の強度も少ない。従って到底大型車輌が1日540台も通行できる強度ではなく、ただちにその弊害がおこり、周辺住民の生活に支障をきたす。大型車輌の台数を減らすよう指導してください。
【20】2年間以上に及ぶ工事は、周辺住民の健康に影響を与えることは確実である。このような工事公害について、川崎市当局は、工事期間、及び工事規模を縮小するよう厳しく指導してください。
【21】上水道は、現状でも付近一帯は水圧が低く生活に支障をきたすことも度々ある。この規模の集合住宅ができれば当然水圧低下が予想される。既存住宅の水圧が下がらない新たな給水方法を考えるよう指導してください。
【22】計画地の雨水排水抑制施設は、全敷地で、1,508立方メートルしかなく、一時間当たり、30mm程度の雨が降った場合、直ぐにあふれてしまうことが懸念される。計画地は高台であり、付近に被害が及ぶため、適切な量を有する施設に改善するよう指導してください。
【23】既存の上下水道では、需要に応じられないと懸念されるので、事業者負担で施設増強をするよう指導してください。
【24】日照阻害が冬至日において、4時間から6時間の日影の影響を受けるところもある。北側の建物は計画地から下がっており、実際の日照阻害は、評価書よりはるかに大きい審査書にも指摘してあるように複合日影も考えられるので、改善するよう指導してください。
【25】計画地は、鷺沼駅から徒歩圏内に位置しているけれども、雨天や高齢者や幼児連れや重い荷物を携帯している人には、負担になる距離になる。居住者の駅までの送迎及び買い物の車輌の出入りを減らすため審査書にも指摘があったように東急コーチの乗り入れを促進するよう指導してください。
【26】コンクリートの建築物が出現するため、ヒートアイランド現象がおこり、環境におよぼす影響は多大なものがある。審査書の指摘にあるように敷地内に大景木を現計画より大量に植樹し、温暖化を防ぎ、緑化を促進するよう指導してください。
【27】計画建物には、ディスポーザの設備があるが、その沈殿槽の管理や、排水の汚染について懸念される。具体的に悪臭や排水の汚染が生じないよう指導してください。
【28】計画地は、通学路、通園路にあたり、工事中は1日最大270台の大型車輌が出入りすることになり、児童、園児に危険が及ぶことになる。大型車輌の通行量を減らすため、工事規模を縮小するよう指導してください。
【29】鷺沼小学校前の交差点は、通勤車輌1日あたり260台も進入し、しかも交通整理員も配される予定がない。このまま危険な状態を放置しないよう指導してください。
【30】鷺沼小学校は現在飽和状態である。保育園、幼稚園も飽和状態であることから、計画地の人口の増加を減らすよう指導してください。
【31】保育園の待機児童が非常に多いので、計画地内に事業者負担で、保育園の設置を促すことを指導してください。
【32】医療機関は内科だけでなく、他の診療科目も誘致するよう指導してください。患者用駐車場も合わせて設置するよう指導してくだい。
【33】計画地付近には、日常品や新鮮食料品を購買できる店舗はない。居住者の車輌の出入りを少なくするために、中規模の店舗を計画地内に誘致するよう指導してください。
【34】計画地の土壌安定のために改良剤を使用する場合、環境汚染を生じさせないよう指導してください。
【35】計画地は、最大盛土が14mにもなるところあり、その強度が懸念される。また、擁壁の強度も懸念されるので、大地震の時でも安全が保たれるよう指導してください。
【36】計画地内に敷くタイルその他の素材は、透水性のもので、かつ日射熱を吸収するものを採用するよう指導してください。



以上、全ての点について、確実に最大の努力をもって指導するとともに、その結果を出すことを要求します。地域住民説明会及び事業者との話し合いが終了するまでは、開発許可の申請の提出を延期させるようお願い申しあげます。

  以上

 平成14年10月7日

公開質問状(追加)

川崎市長    阿部孝夫 殿
まちづくり局長 福地由矩 殿
関係部局長        殿

鷺沼地域の住環境を守る会 代表

 追加の質問状を提出しますのでよろしくお願いいたします。

【37】市道鷺沼70号線において、計画地のA敷地と郵政宿舎の接する部分の道路が急にそこだけ狭くなっていて危険なので、拡幅するよう指導してください。
【38】市道鷺沼71号線と市道鷺沼72号線が接する、「市道鷺沼74号線に至る道路」は、階段状なので、車が通行できるスロープ状とするよう指導してください。
【39】市道鷺沼71号線と市道鷺沼72号線沿いに、計画地の住民が災害時、避難しやすくするべく階段を設けるよう指導してください。
【40】風環境について、まちづくり委員会でも指摘があったようにシュミレーションだけではわからないことがあるので、現地調査をするよう指導してください。詳細については、後日定めたいと思います。



以上、追加の要望が住民からありました。行政による地域住民説明会及び事業者との話し合いが終了するまで、開発許可の申請の提出を延期させるようお願い申しあげます。

これらの質問状に対する返答文書は、2002年10月14日現在 届いていません。


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