市長への公開質問・要望書〈第3次〉

『守る会』は川崎市の環境アセスメント(条例環境影響評価)制度の実情に疑問を抱き、
その“疑問”を含めて、アセス審議委員長・戸田孔功氏への【罷免要求】
阿部孝夫川崎市市長宛に、2002年
617日、提出しました。

その【要求】に対して、市長からおおよそ2カ月後の
85日付で回答がきました。

その阿部市長の回答は(いままでの例に漏れず)
問題の核心に何もこたえていない
的はずれな
内容であったため、『守る会』は911日、改めて【再質問状】を提出しました。

以下に、その内容を、経緯を追って掲載します。

 

(7)アセス審議会を適正に機能させない戸田委員長に対する【罷免要求】:6月17日付

(8)上記 ↑ の罷免要求に対して返送されてきた阿部孝夫川崎市長の回答文:8月5日付

(9)市長回答の曖昧点とさらにその後の問題状況も指摘した【再質問状】:9月11日付


(7)アセス審議会を適正に機能させない戸田委員長に対する【罷免要求】

平成14年6月17日

川崎市長 阿部孝夫 殿

罷免訴求

5月27日および6月17日の(仮称)「鷺沼4丁目プロジェクト」の環境影響評価室の審議会を傍聴いたしました。
審議会会長で司会の戸田孔功氏は、1分でも早く審議会を終わらせようと腐心するばかりであった。
審議会の司会としてまことに不適切な行動をとり、審議会委員の意見を控えさせようと終始した。
納税者たる我々市民は正当に環境影響評価の審議を受ける権利を有する。
かかる不適当な人物、戸田孔功氏の罷免を、川崎市長に要求します。

   

鷺沼地域の住環境を守る会
会員105世帯

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(8)前項↓の罷免訴求に対して返送されてきた阿部孝夫川崎市長回答文

 お手紙拝見いたしました。
 これまでにいただいた「(仮称)鷺沼4丁目プロジェクト」についての手紙を踏まえ、会議録に目を通し、関係職員の説明も聞きました。

 環境影響評価制度の目的は、事業者が事業を実施するにあたり、事業者の責任と負担において、事業の実施に環境に及ぼす影響を調査し、その予測・評価したものを公表(縦覧)し、この調査等に対する市民意見等をいただく手続きを通して、事業に係る環境の保全について、適正な配慮を求め良好な環境の保全および創造を図ろうとするものです。

 そして、環境影響評価審議会(以下「審議会」といいます。)は、事業者が作成した環境評価準備書などの関連図書と、この準備書などに対する市民から寄せられた意見、公聴会での記録などを基に、計画された事業の環境影響評価が妥当であるか、環境保全上の環境負荷の低減や回避措置が適切であるかなどを調査・審議するものです。

 こうした観点から、審議会での会議録を吟味しましたところ、環境影響評価に関する事項については適正に審議されていると考えます。

 皆さまから寄せられた多くの意見の中で、審議会で取り上げられなかったものがあるとの御指摘については、環境影響評価制度の上で、事業の計画そのものの是非など、環境影響評価になじまない意見などは、別の場での論議になるものと存じますが、このことが市民意見が審議会に反映されていないように映ったかと思われます。

 環境影響評価審議会は、事業者の計画を基に環境保全上の環境負荷の低減や回避措置が適切であるかについて審議するという一定の制約の下での審議であることをご理解いただきたいと存じます。

平成14年8月5日

川崎市長 阿部孝夫

受付番号292

この回答(と称されているもの)への、『守る会』のコメントは下記↓の【再質問状】に書き記してあります。

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(9)市長回答の曖昧点とさらにその後の問題状況も指摘した【再質問状】

 平成14年9月11日

公開質問状

川崎市長 阿部孝夫 殿

前略 早速ですが、8月5日付けの返事をいただきましたが、再度質問いたします。

 環境影響評価の審議会の意義は理解しているつもりです。この“審議会”は、事業計画の是非を論じる機関ではなく、その事業が環境に与える影響を評価する機関だと理解しております。私達が1月に提出した質問状にも既に書きましたが、市の環境影響評価には、環境影響評価の結果、環境に与える影響が大きいので、この事業を大幅に見直すという選択肢が含まれていない欠陥があります。

 しかし今回は、その欠陥を問いただしているのではなく、審議会に出席した会長及び委員の方々が、現地視察や環境評価室から、条例準備書、見解書、公聴会の記録等を渡されているにもかかわらず、その中で住民が提示している多くの疑問点について質問をしていないということです。住民側から条例準備書の記述の誤りや、環境影響評価の項目の中にある疑問点についての資料を各審議会委員に提出いたしました。審議会においてそれらの資料にある疑問点や質問について何も発言せず、住民の意見や疑問点について無視するような方は審議会委員としての資質に問題があると指摘しているのであります。

 第一回の審議会(5月27日)では、2人の審議会委員はなにも発言せず、第ニ回の審議会(6月17日)では、1人の委員がなにも発言しませんでした。それらの委員は審議会の場では、恥ずかしくて発言できず、後で意見書にまとめて提出なさっているのでしょうか。そのような方に報酬を支払ってまで、委員をやっていただく意味があるとは、私たち市民は思いません。会長の戸田氏は、発言を一度もしていない委員に発言を促すこともせず、ひたすら早く終えることに腐心しているように傍聴していた住民には見えました。このような委員会では、川崎市環境影響評価の条例に従って、手続きを無難に速やかに通過させるための御用機関に過ぎないと言わざるを得ません。


 私達は条例準備書の資料編において工事現場に入る大型車輌の進入車と出る車輌の数が一致しないと指摘した資料を提出しました。にもかかわらず、審議会ではそのことには一切触れられませんでした。大型車輌は工事現場から突如消滅したのでしょうか。準備書の記載に誤謬があるかないかは全く審議会と関係がないことなのでしょうか。

 ここに私達住民が各委員宛てに直接提出した資料を添付いたします(添付資料内容はここをクリック)。この資料のどこに事業計画の是非を論じている個所があるのかお知らせください。また、川崎市長の返事には、環境影響評価制度に馴染まない意見等は、別の場にて論議になるものと存じますがと記してありますが、別の場とは、一体どこの場を指しているのかお伺いいたします。住民はそういう場がありましたら、是非発言したいものです。


 また、環境影響評価の評価書が8月15日に公告されました。

 5月18日に住民と業者の話し合い会 (この席に証人として、まちづくり局総務部長青木謙二氏、総務部所属松本裕幸氏、及び川崎市議会議員平子瀧夫氏、浅野文直氏に出席していただいております。)  の中で提示された「鷺沼4丁目プロジェクト」の計画変更案をそのまま、条例審査書を受けての内容としてすり替え、あたかも審査書のあとに提出した変更案のように見せかけています。その点については、環境評価室長もその事実を知りながら黙認し、評価書を決裁しています。(詳細は8月23日付公開質問状に記載しました。) また、公聴会会議録(p21)で、13年度鷺沼駅乗員数の一日平均数は、条例準備書には、約20,000人と記載されていますが、川崎市発行の川崎統計では、2万8540人としています。この口述に対する答えが、公聴会会議録(p58,59、60)に載っております。指定業者(株)オオバはこの質問に答えられず、評価書の中で「訂正します」と言っております。評価書(p56)には、確かに、一日の平均乗車人数は、31,000人と記してありますが、訂正のお詫びもなく数字をただ書き換えただけに過ぎません。

第一回審議会(5月27日)において、指定業者オオバは、説明の中で、定期通勤者が約20,000人で、切符を買った乗客を入れたほうがよいと言われたので、それをいれて30,000人になりましたと(実際には住民側の指摘で初めて気付いたにもかかわらず)そういうウソを審議会で言いました。虚偽発言です。環境評価室の関係者は、会議録を作成した時点で、皆その事実を認識しているにもかかわらず、指定業者の偽りの説明を指摘しないままでした。その不誠実な態度は納得がいきません。


 さらに、8月30日に行われた川崎市議会まちづくり委員会の審議の場において、まちづくり委員の議員が、「鷺沼4丁目プロジェクト」の風洞実験をしたのかと、環境評価室長に質問しました。

 初めは、おこなったと曖昧な返答をしていましたが、議員に詰問され結局していないと吐露しました。そして、なぜ風洞実験を求めないのかという議員の質問に、環境評価室長費用がかかるので求めないと答えました。私達傍聴人はこの答えに驚愕しました。費用を負担するのは、川崎市ではなく、事業者側です。環境評価室長は、環境影響評価を正当に評価する責任があり、それが仕事です。環境評価室長が事業者が負担する費用の心配をするのは道理に合いません。結局議員の強い主張で、風洞実験の資料を事業者に提出させることになりました。


 また、審査書の冒頭に、2、審査結果及び内容の中に(本事業における「川崎都市計画高度地区制限の適用除外」を適用しない場合での計画案を総合的見地から比較を行い、そのよう有効性について、評価書の中に記載すること。)と記載されていました。

 評価書の中に「適用除外した計画案の設計図」が載っていなかったことを議員に質問されたところ、環境評価室長載っていなかったので、仕方なくそのまま評価書を決裁したと答えました。このような環境評価室長の行為は、自らの仕事を放棄するという背任行為にあたります。

まちづくり委員会の場では、各行政担当者は終始事業者側の立場を擁護していました。これに対して、計画実行の直接の責任者は事業者であるが、その許認可権をもつ行政者にも許可を出す以上重大な責任がある。とある議員は述べました。 以上のような環境評価室の措置及びまちづくり局の対応では、近隣住民行政に対して強い不信感を抱くのは当然のことと思われます。これは事業者と川崎市の癒着を疑わざるを得ません。


改めて、下記の質問を提示いたします。必ずお答えください。

質問1

アセス審議会において、アセスの委員長及び委員は住民から提出された疑問点について適切な審議をしたか。

質問2

準備書の誤謬についてアセスの審議会で取り上げる必要はないのか。

質問3

評価書の中で、虚偽記載を認める環境評価室の行為は背任行為でないのか。

質問4

まちづくり委員会における環境評価室長の風洞実験に対する発言は適切か。

質問5

環境影響評価制度に馴染まない意見は、どの場で述べたらよいのか。

質問6

行政は、開発許可・建築許可を出すに当たって、何も責任がないのか。

質問7

2002年1月より、度々市長との面会を求めています。環境影響評価制度の形骸化等についてお話を伺いたいと思っています。この面会に対する返事もお聞かせください。

  以上

                鷺沼地域の住環境を守る会

この質問状に対する返答は、2002年10月14日現在 *いまだに* 届いていません。


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