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●2003年6月20日(金)、東京地裁6階の627号法廷にて、鷺沼ヴァンガートンヒルズの建設差し止めを求めて、近隣住民代表が起こした民事訴訟(事件番号:平成15年(ワ)第8805号)の第1回口頭弁論が行われました。
| ※いままで当HPでは「第1回公判」と記載していましたが、弁護士さんに確認したところ公判は刑事訴訟で使われる用語であり、民事訴訟においては「口頭弁論」と称するものであるとご指摘をいただきましたので以後はこの用語に統一して記載いたします。 |
●傍聴席には被告(東急不動産、三菱商事、新日鉄都市開発、大林組)側傍聴人約10名、そして原告側傍聴人を含むその他の方がた20数名が、この裁判の様子を見守りました。私たち原告の呼びかけで傍聴に集まってくださった皆さま、本当にありがとうございました。
●午前11時の開廷の後、裁判長の「…では、最初ですので原告の方から陳述があれば…」との言葉を受けて、原告側代表者が、用意した写真パネル等を提示しながら陳述を行いました。陳述の内容は、主に以下の通りです。
(1)問題のマンションが建てられようとしている「鷺沼」という街並みの特徴。
街なか随所を撮影した写真パネルで「鷺沼」の現況を裁判官に説明。 |
(2)この鷺沼の現在の街並みがいかに構築されてきたかに関する“成り立ち”の説明。
イギリス人経済学者ハワードの提唱を受けてロンドン郊外のレッチワース等に実際につくられた低層住宅地の街並み=田園都市構想をめざした東急グループの五島慶太氏が、日本精工社長の今里広日記氏ら財界人と共に、この鷺沼に新しい街を創ろうと意志を固めたこと、その開発方法は企業先導で行うのでなく、土地区画整理組合を作り、地元の人間と相談しながら共同で街づくりをするという独特の方法で行われたこと、などを陳述。 |
(3)被告らがこの開発行為を行うにあたって、街の環境や景観へ如何なる"配慮"をしてきたか。
被告は開発行為の事前審査申請を市に提出した後、すみやかに近隣住民へそのことを知らせる看板を掲示しなければならない決まりであるにも関わらず、実際にはその看板掲出を4カ月遅らせて住民への告知を怠ったこと、その後近隣住民から全224通にのぼるアセスの意見書が出されほぼ計画反対の意見が集中したにも関わらず、それに答える見解書でその反対意見に対応する見解をほとんど示さなかったこと、など事実関係を陳述。 |
(4)この建築計画の本質的問題点
本来なら建物の高さは15mまでに制限されているこの地域で、"公開空地"を設けることで「高さ制限の緩和」を受け、建物高を約31mにまで上げていること、しかし、その"公開空地"は馬蹄形にぐるりと周囲を囲まれた事実上「中庭」の形状であり、「歩行者が日常自由に通行し又は利用できるものであること」と規定されている公開空地の趣旨に反するものであること、その点を川崎市議会のまちづくり委員会でも「全く公開性がない」と強く指摘され、やむなく市道に沿った部分の建物を幅6mだけ分断したが、それは空地の公開性を実現するにはまだまだとても実効性のないものであること、などを陳述。 |
●原告からの意見陳述は20分程で終了。その後は今後の日程の進め方などについて裁判長から話があり、「7月末までにより詳細な証拠文書類を提出」「第2回口頭弁論は8月29日(金)に行う」といった取り決めがなされ、この日はそれで閉廷となりました。(被告側弁護人からの反対意見陳述などもいっさいなく、事前に予想していたよりはかなりあっさりとした内容でした)
●今後、担当裁判官は、私たち原告から提出した文書と、それに対して被告側が提出した答弁書を読み込む作業に入り、しかるべき作業期間をおいて次回、8月29日の第2回口頭弁論にのぞむ予定です。
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