事業者の電波障害対策活動に対して
住民が不満を感じている「個別訪問交渉」ではなく
「関係住民合同説明会」の開催を求めて
事業者へ要望書を提出しました。
(2003年6月6日掲載)

【トピックス】:要望書提出後3週間経過した6月27日に、事業者は返信をしてきました。詳しくはこちらへ。


ゴミ問題について、事業者から未だ何の情報も伝えられていない「鷺沼ヴァンガートンヒルズ問題」ですが、また異なることで問題となる案件が発生しました。

この高層マンションによって近隣の住民世帯にテレビ電波の受信障害が発生することが予想され、事業者がその「補償対策」として東急系列のケーブルテレビ会社イッツ・コミュニケーションズ株式会社(Itscom社)のケーブルサービスを利用した「改善対策作業」を進めており、そのために事業者側人間が関係住民の各戸を個別に訪ねて説明にまわっているという事から生じる問題です。 ※ちなみに、この説明訪問は事業者の連絡窓口業務を請け負っている(株)メイズ・プランという業者が実行しているようです。

この「説明訪問」は「ヴァンガートンヒルズの建物が原因となってテレビ電波の受信障害が発生する(と予想される)世帯」を対象に行われており、その世帯は現地である鷺沼4丁目のみならず、遠くは横浜市青葉区美しが丘のエリアまで及んでいるようです。(「守る会」ではそうした訪問を受けた方々から問い合わせをいただいてこの事態を知りました)

「障害を起こしてしまうから対策作業を申し出る」という事業者の行為に対してはなんら非を唱えるものではありません。が、問い合わせをくださった方々のお話しを聞き、テレビ工事に詳しい方のご意見を聞いて総合すると次のような問題点があることがわかってきました。

他の選択肢を選ぶ余地もなく、Itscom社のケーブルテレビ加入の契約をすることになる。(さもなくば障害補償はできずテレビは映らないままになりますよ、ということになる)
そのうえ「補償対象世帯」(=受信障害が発生すると事業者が予測をしている世帯)の範囲の根拠が不明瞭。(訪問を受けた住民の方が「具体的にどことどこの世帯に影響が出るのか?」と説明員に質問してもあいまいな口調で回答をはぐらかされたとのこと)
(工事の費用や、通常チャンネルの視聴料金は“無料”とされているが)設置する施設の一部の維持管理費はじめ、いくらかの維持経費が各対象世帯負担とされる契約内容となっている。
将来にわたって視聴を継続する際の経費負担および責任の所在などが不明確。(=質問をしても説明員の回答があいまい)
地上波テレビがデジタル化された際(政府広報によると2006年末までに順次デジタル放送が開始され、2011年にはデジタル放送への完全移行=アナログ放送終了=となる予定)の対応について説明員に質問しても、明瞭な回答が得られない。
さらに契約書面を見ると、この地上波テレビデジタル化を機会に一方的に補償が打ち切られかねない(とも読みとれる、あいまいな)内容となっている。
(ちなみに『守る会』がNHKに確認したところによると、「地上波がデジタル化されてもビル等建物による電波障害状況は変わることはない」「デジタル化されたら今まで障害で映らなかった家のテレビが映るようになることはない」との回答を得ています)

個別交渉では、こうした知識にくわしくない住民の方がよく内容を理解しないまま不利な条件で契約を強いられる可能性もあります。(穿った捉え方をすれば、東急不動産がこの機会を利用して同じ東急系列であるItscom社の加入契約促進をしているにすぎない、といった見方さえすることができます)

『守る会』ではこの件に関して対象世帯の皆さまから寄せられた問い合わせから事の重大性を感じ、事業者およびItscom関係者に対して 個別訪問説明ではなく関係住民を一堂にあつめて質疑応答とその情報内容を共有できる「説明会」を開催するよう下記の要望書を提出しました(川崎市行政にも、事業者のそうした行動を促してくれるよう強く要請しています)

また同時に、事業者が申し出ている契約内容に“思わぬ不当性”がないかどうか、より詳しく精査する必要があると考えています。場合によっては住民側が一致団結して契約条件の見直しを申し入れるべき場合もあるかもしれません。相手はあのヴァンガートンヒルズの事業者であり、彼らが自分たちの事業を推進する上どのような姿勢で住民に接してくる人間であるか、私たちはすでに多くのことを学んできたつもりです。この電波障害対策に関してもゆめゆめ油断することなく、慎重に対処するに越したことはない、と思います。

「テレビ電波障害の改善対策」に関して事業者の個別訪問を受けている住民のみなさま、その説明内容で少しでも不安になる点がありましたら、まずは、その個別説明で契約しないようにしてください。「合同説明会」の開催を待たれることをおすすめいたします。

※またご近隣に、このホームページを見ていない、インターネットをあまり使っていないような方がいらっしゃいましたら「個別交渉ではなく合同説明会で詳細を確認してから契約をする」ことについてお伝えいただけたらと思います。よろしくお願いいたします。

 


上記主旨に基づいて事業者宛に出した【要望書】

電波障害対策に関する要請

東急不動産株式会社 殿
三菱商事株式会社 殿
株式会社新日鉄都市開発 殿


                     平成15年6月5日
                    鷺沼地域の住環境を守る会 代表

拝啓

貴社ますますご清栄のこととお慶び申しあげます。

 「鷺沼ヴァンガートンヒルズ」の建設に伴うテレビ電波障害対策について、新築される建物の影響によりテレビ電波の受信障害が発生するおそれがあると思われる個々の家に個別に訪問して、ケーブルテレビを利用した電波障害改善対策を進めておられるということを伺いました。

 この地区には年配の方や電波に関することに疎い方もおられるため、この件に関して「守る会」へも問い合わせが多数あり、当会としていささか困惑しております

 関係住民は、このイッツ・コミュニケーションズ社のケーブルテレビを用いた電波障害改善対策に関して説明会を開催いただくことを望んでおります。そこで質疑応答の形をとり、納得をした上で契約をしたいと考え、そういったプロセスを経ずに契約をすることにとても不安を覚えております。また、関係住民は、電波障害はテレビだけではなく、ラジオ等他の電波も影響するのではないかと懸念しております。住民のそうした要望がある以上、説明会を開催していただくことが社会通念上妥当である、と当会としても考えております。


 つきましては、個々に訪問し、説明するという手段を用いるのではなく、早急に説明会を開催することを強く要請いたします。

敬具



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