◎2003年6月27日(金)、鷺沼ヴァンガートンヒルズ建築事業者は、それまでいくら催促しても返事一本よこさなかった件に関して、いきなり返答文書を送ってきました。 ◎まず一つは、「電波障害対策に関しての説明会」に関する返答。その回答内容は「説明会は開催しません。今後とも、必要な説明等は、個別に対応させていただきます」というもの。尚、その文書には、この障害対策を行う工事事務所の連絡先電話番号が示してあり、住民でなにか疑問や不安をお持ちの人は、その電話に連絡をするようにしてくれとの付記もありました。 ◎同じ6月27日(金)に当会宛に入った連絡のもうひとつは「ゴミ問題に関しての説明会」についてのもので「きたる7月6日(日)に説明会を開催します」というもの。建築事務所内ではなく、現地に隣接するサレジオ幼稚園を借りて開催するそうです。 ◎いままで、うんともスンとも言ってこなかった事業者が、2つの懸案に対する答えをいきなり提示してくるのも不思議なことのように思われました。 ◎その前日の6月26日(木)に、私達『守る会』の有志が、事業の主体者ともなっている東急不動産株式会社の株主総会に予告無しに参席し(←もちろん、同社のちゃんとした株主として)、その席上で、同社の代表取締役社長および担当役員一同に対して直接、株主としての立場からこの件に関する企業としての対応の不誠実性、情報公開に対する消極的姿勢、危機管理体制に対する疑問等を強く抗議意見を申し入れたのですが、そのことと必ずしも無縁ではないかな、などとも感じています。(サレジオ幼稚園の会場手配は、即日にはでき難いでしょうが、電波障害問題の回答文は総会後に書き始めても手配できます。ともあれ、いきなり翌日というのは、あまりにタイミングが合いすぎる気はします。) |
◎さらにその翌日の6月28日(土)、ヴァンガートンヒルズ購入検討者宛に「販売中止に関するお知らせ」が出されました。(ちなみに、今回も、前回の“ゴミによる理由で延期”の際と同様、私達『守る会』には何の連絡もきませんでした。私達は、当HP掲示板にご投稿くださった心ある方からの情報でこの新展開を知るに至りました) ◎冒頭の「電波障害対策説明会の開催拒絶」には納得できない私達ですが、7月6日に私達と接して説明会を開催するという話があり、なおかつ「販売中止」という新しい展開もあること故、まずは、その7月6日に、事業者と話をすることが先決かと判断しています。事業者側から、当会へ販売中止の連絡はされていない状態ですが、7月6日にその話題が出ないはずも無いでしょうから、そこでの話をきいてから、今後の活動の方向を定めようかと考えています。 |
◎とはいえ、鷺沼ヴァンガートンヒルズをめぐる問題は、これで何かが解決するなどといったことには到底なりません。むしろ、今まで以上に大きな問題局面を迎えてしまったと考えられます。 ◎まず今回はあくまで“販売中止”であって、“建設中止”ではないこと。事業者が発信した告知文をさっそく取り寄せて精読しましたが、少なくともその文面には、建築中止のニュアンスは感じ取れませんでした。事業者は依然あの土地の所有者であり、その権利を放棄して建築計画から撤退する可能性、もしくは現工事現場を放棄して全く異なる建築計画に切り替える可能性は、状況的に見て相当に低いモノと考えられます(また、現に工事行為は現場で毎日継続して進められています)。つまり、今回のことがあったからとて、事業者が計画中止を宣言したわけではない、という状況です。 ◎ゆえに、私達が起こしている訴訟はなんら変わることなく進行し続けます。今回の中止宣言を受けて「住民たちが訴訟をとりさげるかもしれない」などと期待をする人がもしいるとしたら、それは見当はずれのこととなります。 ◎なお、今回の中止宣言について、私達は2通りの仮説を考えています。 ◎ひとつは、事業者の発表の通り【本当に、土壌汚染が深刻で、それゆえに販売中止をせざるを得なかった】という仮説。この場合には、その土壌汚染を、土地の所有者である事業者がどう対処していくのか、が重大な課題となります。道一本はさんだ反対側に住む私達にとって、それこそ深刻な問題です。万が一にも、そのまま放置して塩漬け状態などにされないよう、厳重に注視していく必要があると考えています。もちろん、行政にもまた大いに表舞台に出てきてもらわなくてはならないでしょう。 ◎もうひとつの仮説は、事業者の発表が必ずしも全ての真実ではないというもの。つまり【土壌汚染は実はそれほど深刻でないのだが、販売中止するためのエクスキューズになった】という仮説です。 ◎そんな仮説を思い当たるに至った根拠はまず、その出土ゴミを事業者以外の外部の人間として唯一目にした川崎市公害課職員の「それほどひどくはみえなかった」という第一印象談。それから、ゴミが出土した5月初旬の時点から、つまり“汚染”があるかどうかも定かにわかっていない時点から公式ホームページの内容を("販売を延期する"という一時的事情変化だけなのに)早々と完全削除してしまっていたという不可解な事実。さらに現地はもともと学園と校庭があっただけの土地であり、在30〜40年程度の地元住民の記憶の範囲では、ここに何かの工場や軍の施設(=ゴミはともあれ、“深刻な土壌汚染”をもたらしそうな施設)等があったことは知らない、地元の史書などにもそうした記述はまだ見つけられていないということ。そして、その“ゴミ”の状況を、住民はおろかマスコミや市議会議員の視察要請に対しても頑なに公開を拒みつづけている事業者の姿勢はこの第2の仮説に拍車をかけます。 ◎また、状況的に推測されることとして、私達が訴訟を起こして頑とした姿勢を示し、私達の主張を耳にして(あるいはそれぞれご自身の判断をもとにして)このマンションの購入を取りやめる人も少なからず現れていること、事業者としてこのままではマンション販売の見通しがつかない状況にもなっていたのではないかと思われること、しかし、そのまま住民に屈服した形で計画を幕引きさせるのは企業の体面にかかわり、今後のさまざまな事業展開(とくに東急の田園都市戦略など)にも差し障りがあるから、なにか妥当な理由が必要だったのではないかということ、などがあります。 ◎【ただし第2仮説にまつわるこれらの事柄はどれも、この時点における単なる推測事です。単に“ちょっとした状況証拠の積み重ね”から仮に想定される一論です】 ◎しかし、万が一この第2の仮説が成立する場合には、事業者はさらに別の方策で「私達が違法と主張している現計画」を推進してくる可能性があるわけであり、私達の闘いはまだまだ先の長いものとしてそれなりの対応を考える必要が生じることになります。その意味で、私達は立場上、この第2の仮説の可能性を捨て去ることはできません。 ◎ともあれ、汚染が深刻でも、深刻でなくても、問題が山積みであることに変わりはないようです。裁判の行方に関しても、またさらにご注目いただけたらと思います。 |
|