三原市で知的障害者施設などを運営する社会福祉法人の嘱託職員3人=既に退職=が、施設利用者の複数の女性に性的虐待をしたり、預かった金で私物を購入するなど不適正行為を繰り返していた問題で、県は10日、虐待などの行為を確認したとして、改善に向けた体制強化などを勧告したと発表した。
勧告は障害者自立支援法に基づき、職員管理監督体制の強化▽利用者などからの苦情解決体制の確立▽第三者評価によるサービス向上▽実習生の受け入れや地域住民との連携など外部に開かれた運営--などを求めている。法人は、取り組みや計画を3月11日までに報告する。
法人と県が確認した事実は、(1)指定障害者支援施設で昨年5月ごろ、20代男性職員が自宅アパートで複数回、女性入所者に性的虐待をした(2)60代男性職員が指定障害者支援施設で07年3月ごろ~08年4月ごろ、女性入所者の体を触るなど性的虐待。職員は二度としない旨の誓約書を書いたが、就労継続支援施設で09年6月ごろ~10年11月ごろ、女性利用者に性的虐待をした(3)指定障害者支援施設の40代女性職員は08年5月~10年4月、女性入所者から預かった金で約3万3000円分の私物を購入していた。
法人はこれらを当時県に報告せず、3人は依願退職で済ませていた。県障害者支援課は「新人研修や県への報告がなされていれば、対処できたこともある。利用者目線に立つ基本認識を持ってもらいたい」としている。【矢追健介】
毎日新聞 2012年2月11日 地方版