東京電力福島第一原子力発電所の2号機の原子炉の一部で温度が上昇している問題で、東京電力は11日夜遅く、原子炉への注水量を増やしましたが、その後も温度計の1つは上昇傾向が続き、午前10時には78度を記録しました。
東京電力は12日中に、注水量をさらに増やすことにしています。
福島第一原発の2号機では、先月下旬から、原子炉の底にある温度計の1つが上昇して70度前後まで上がり、東京電力が7日に原子炉への注水量を増やした結果、温度計は8日には64.1度まで下がりましたが、11日、再び71度台に上昇し、11日午後11時には74.9度まで上がりました。
このため東京電力は、11日午後11時前に注水量を1時間当たり14.6トンに増やしましたが、12日朝も温度の上昇傾向は続き、12日午前8時に74.5度、9時に77.1度、10時に78.3度、11時には74.9度を示しているということです。
78.3度は去年12月、政府と東京電力が、原子炉の温度が100度以下に下がったとして、「冷温停止状態」を宣言したあと、最も高い温度です。
原子炉の底にあるほかの2つの温度計は35度程度まで下がっているほか、原子炉周辺の気体の調査から、核分裂が連続して起きる「臨界」のときに発生する放射性物質の「キセノン」は検出限界以下のため、東京電力は臨界は起きていないとしています。
温度の上昇を受けて東京電力は、12日、臨界を防ぐホウ酸水の注入をしたあと、12日中には原子炉の注水量を、1時間当たりさらに3トン増やすことにしています。
「冷温停止状態」を受けて東京電力が見直した新たな規定では、温度計の誤差が最大で20度あることを考慮して、原子炉の温度を80度以下に維持することを定めています。
東京電力は温度の上昇の原因として、水の流れが安定せず、十分に冷やせていないことや温度計の故障などがありえるとしたうえで、「冷温停止状態については1つの温度計だけで判断できず、ほかの温度をみたうえで見極める必要がある」と説明しています。
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