福島のニュース
キノコ原木不足 主産地・福島が供給難
 | 原発事故で入手が難しくなっているキノコの原木 |
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キノコ栽培に必要な原木が、福島第1原発事故の影響で全国的に品薄となっている。原木の一大産地福島県で、原発事故により放出された放射性物質が付着するなどし、原木の供給が滞っているためだ。林野庁は需給の広域調整で乗り切ろうと努めているが、キノコが発生しやすいとされる20年生の広葉樹は簡単には確保できず、市場の不足感は解消されていない。 キノコ栽培には原木に菌を植え付ける方法と、おがくずなどを固めた菌床を利用するやり方がある。原木は一般的にシイタケ栽培に用いられ、「原木シイタケ」と呼ばれて乾燥シイタケなどに加工されている。 林野庁によると、2010年に県境をまたいで流通した原木は、福島県産が2万7212立方メートル(約53%)で全国1位。通常は自県内で調達されるが、完全に自給できる県は少なく、他県産が求められてきた。福島県産は「キノコが出やすい」と業者に評判で、養分を吸収しやすい20年生ほどのコナラやクヌギに人気が集中していた。 東北でも自県内調達率が91%と68%の宮城、山形両県で福島県産に大きく依存。それぞれ722立方メートル、498立方メートルあった他県産のうち、いずれも92%を占めていた。 しかし、原発事故で状況は一変。福島県産がほぼ出荷されなくなり、昨年12月時点で約3万立方メートルが不足している。林野庁が全都道府県に需給状況を聞いて調整する「マッチング」に当たっているが、人気樹種の生産量が少ない県もあり、事態打開には至っていない。 宮城県でも、産地の県北の農家から「つてがないと他県産は入手できない」「コストが上がったら、東京電力に賠償請求できるか」といった声が上がっているという。 林野庁は「福島県産の原木を除染する技術を確立しようとしているが、今のところマッチング作業を進める以外には打つ手がない」(林政部)と話している。
2012年02月12日日曜日
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