「韓国野党のFTA破棄要求は危険なゲーム」

韓米中日の経済専門家座談会

 韓国国際交流財団が10日に開催したグローバルセミナーで、韓国、米国、中国、日本の経済専門家は、野党・民主統合党が韓米自由貿易協定(FTA)の破棄を主張していることに深刻な懸念を表明した。

 また、中国の専門家は米国主導の太平洋経済連携協定(TPP)をけん制し、韓中FTA交渉の速やかな進行を求めた。FTA競争で最も出遅れている日本は、開放こそが生き残りの道だという切迫感を語った。

 セミナーに出席したのは、朴泰鎬(パク・テホ)外交通商部(省に相当)通商交渉本部長、余永定・中国社会科学院世界経済政治研究所教授、河合正弘・アジア開発銀行(ADB)研究所長、マーカス・ノーランド・米ピーターソン国際経済研究所副所長。司会は韓国大統領府(青瓦台)の李鍾和(イ・ジョンファ)国際経済補佐官が務めた。

 以下は主席者の発言要旨。

ノーランド副所長「数日前、韓国の野党が米国大使館まで行進し、オバマ大統領に宛てたFTA反対の書簡を手渡したことに非常に驚いた。韓国の野党は非常に危険なゲームをしている。貿易依存度が高い韓国が、最大の経済圏である米国との協定から抜けるというのは大きなミスだ。潜在的なFTAパートナーの日本、中国にとっても、韓国に対する信頼、評判は傷つくことになるはずだ。韓米間の非貿易関係にまで(衝撃が)波及する可能性がある。韓国と米国は相互防衛条約を結んでおり、2万5000人の米軍が韓国に駐留している。こうした(安全保障)関係にもマイナスの影響が及ぶことになる」

余教授「韓国は非常に賢明な通商政策を取っている。中国とFTAが締結されれば、韓国に対する認知度がさらに高まる。韓国の農業分野から激しい抵抗が予想されるが、中国には韓国の農業を全て飲み込む意図はない」

朴本部長「韓中FTAが開放の幅を縮小したFTAになるという懸念が韓国国内には多い。しかし、世界貿易機関(WTO)の基準では、交渉品目のうち10%未満だけを(開放度を下げる)特別な扱いにする。韓中FTAもそのレベルでなければならない。商品だけでなく、知的財産権、投資など全てが含まれるべきだ」

河合所長「日本は韓中FTAの推進に強い刺激を受けた。TPPに加わることは、日本経済の最後の閉ざされたドアを開くものだ。日本がそれに失敗すれば、日本経済の成長回復の可能性は非常に暗くなる」

ノーランド副所長「アジア地域のFTAは(中国が主導する)アジア部分とTPPに二分される。究極的には両協定が統合されるように、協定加入承認のハードルを下げるなど努力を傾けるべきだ」

余教授「中国は(米国主導の)TPPに反対はしないが、見守ろうという姿勢だ。中国は韓中日FTAを先に推進することに積極的に賛成する」

崔炯碩(チェ・ヒョンソク)記者
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