民主年金試算:打撃、中間所得層に 低所得増へ税集中投入

2012年2月11日 1時26分 更新:2月11日 3時11分

民主党案で最も給付が高い案と現行厚生年金の比較
民主党案で最も給付が高い案と現行厚生年金の比較

 民主党が10日、試算を公表した新年金制度は、税と保険料半々で賄っている今の基礎年金を廃止し、低所得者向けの最低保障年金に税を集中投入する仕組みだ。最低保障年金を受けられないか、減額される中間所得層以上の人は税の「補助」がなくなるか縮むため、現行制度を続けるより年金が減る可能性が高い。一方で、新制度は高所得層にもメリットがあるため、最も影響を受けるのは中間の所得層の人となりそうだ。【鈴木直】

 同党社会保障と税の一体改革調査会事務局長の長妻昭元厚生労働相は、新制度について10日の記者会見で「格差是正の意味合いを持っている」と述べ、低所得層に厚い制度であることを強調した。

 試算によると、最も給付が手厚い案でも、年収が400万円強を超す人は現行制度より受給額が減る。同党は最新の将来人口推計を基にした新たな試算をする意向だが、中間所得層の給付減を防ぐのは難しいとみられる。

 一方、今の基礎年金の保険料で賄っている部分は、所得が高く、保険料も高い人が低所得の人を「支援」する仕組みとなっている。このため、基礎年金を廃止すれば高所得の人は低所得の人への支援が少なくて済むようになる。結局、現行制度で「支援額」が多い高所得の人ほど有利になり中間所得層は税による補助がなくなる分、打撃を受けることになる。

 新制度の保険料率は現行制度と変わらない見通し。厚生年金は保険料率が17年度に18.3%で固定されるのに対し、民主党案は15%程度だが、約3%とみられる遺族年金や障害年金分は別途徴収する考えなので、結局は18%程度になりそうだ。

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