外部被ばく線量:3町村の住民、4カ月の推計発表…福島県

2011年12月13日 13時14分 更新:12月13日 14時0分

外部被ばく線量の推計結果などを発表する山下俊一・福島県立医科大副学長=福島市内のホテルで2011年12月13日午前9時59分、吉川雄策撮影
外部被ばく線量の推計結果などを発表する山下俊一・福島県立医科大副学長=福島市内のホテルで2011年12月13日午前9時59分、吉川雄策撮影

 福島県は13日、警戒区域などに指定されている浪江、川俣、飯舘の3町村の一部住民1727人が事故発生から4カ月間で受けた外部被ばく線量を推計したところ、約40%が一般人の年間被ばく基準値の1ミリシーベルト以上だったと発表した。一般住民の最高は14.5ミリシーベルト、放射線業務経験者では東京電力福島第1原発作業員の37.4ミリシーベルトが最も高かった。年内をめどに本人に通知する。

 ◇40%が1ミリシーベルト以上

 県は「これまでの疫学調査では100ミリシーベルト以下での健康影響は確認されておらず、今回の結果から健康に影響があるとは考えにくいが、今後も健康管理を進める」としている。

 先行調査の3町村(川俣町は山木屋地区のみ)の対象者の内訳は一般住民1589人、放射線業務経験者138人。このうち一般住民では、1ミリシーベルト未満998人(62.8%)▽1ミリシーベルト以上~5ミリシーベルト未満549人(34.6%)▽5ミリシーベルト以上~10ミリシーベルト未満38人(2.4%)▽10ミリシーベルト超は4人(0.3%)で、14.5ミリシーベルトが1人いた。

 20歳未満(311人)に限ると、1ミリシーベルト未満193人(62.1%)▽1ミリシーベルト以上~3ミリシーベルト未満100人(32.2%)▽3ミリシーベルト以上~5ミリシーベルト未満11人(3.5%)▽5ミリシーベルト以上10ミリシーベルト未満7人(2.3%)で全員が10ミリシーベルト未満だった。

 県民健康管理調査は原発事故時の全県民約200万人が対象。先行地域の3町村の住民計約2万9000人については6月から始め、今回は、うち1727人分について住民の行動記録などを基に放射線医学総合研究所(千葉市)が推計した。

 この日は、警戒区域と計画的避難区域の住民の事故後4カ月間の外部被ばく線量について、避難行動のモデルケースに基づき試算した結果も公表された。最も高かったのは、飯舘村で線量が一番高い地区に住み6月21日に福島市に避難した場合で19ミリシーベルト。早期に避難した警戒区域内では0.2~2ミリシーベルトだった。

 また、18歳以下(4月1日時点)の子供約36万人全員を対象とする甲状腺検査の先行実施分は9日現在、対象者1万9459人の約6割の1万1534人が受診した。検査を担当する福島県立医大の鈴木真一教授は「しこりが見つかり、2次検査が必要な人は極めて少ない」と述べた。

 チェルノブイリ原発事故の例では、子供の甲状腺がんは4~5年後から増えており、1回目の検査は元々しこりがあるかを調べ、2回目以降に向けた基礎データとするのが目的という。【佐々木洋、乾達、吉川雄策】

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