2011年12月13日 12時6分 更新:12月14日 0時13分
【ワシントン古本陽荘】米上下両院は12日、両院協議会で、12会計年度(11年10月~12年9月)の国防権限法案から、在沖縄海兵隊のグアム移転経費を全額削除することで合意した。グアム移転とセットとされている米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の沖縄県内への移設の実現可能性に議会が厳しい判断を下した結果だ。ただ、現在、未消化の予算については支出を認める内容で、事業の継続は確保された。交渉筋が明らかにした。
合意案は、移転費の全額削除を求めていた上院の意向におおむね沿った内容。上院案通り、普天間移設の進展や海兵隊が移設計画の詳細を議会に提出するまで、グアム移転経費の支出を一切認めないとの条項が盛り込まれた。
一方で、グアムのインフラ整備が遅れたことにより、支出されないまま未消化となっている予算については、支出禁止条項の例外として扱い、支出を認めた。議会筋によると、未消化予算は5億ドル(約380億円)以上で、当面の支出に問題はないという。
国防権限法は国防予算の大枠を定めるもの。グアム移転経費については、オバマ政権がアンダーセン空港施設拡張などで計1億5600万ドル(約120億円)の予算を要求。これに対し、下院は全額を承認したが、上院はインフラ整備が遅れていることと、海兵隊移転の前提となる普天間飛行場の移設実現のメドが立っていないことを理由に全額を削除していた。上下両院の軍事委員長と野党筆頭理事の計4人が中心となり7日以降、断続的に協議を続け12日午後、法案の取りまとめ作業が終了した。
日米両政府は06年に在沖縄海兵隊のグアム移転を双方が負担することで合意。日本側は融資・出資も含め60.9億ドル、米側は41.8億ドルを負担する取り決めとなっている。